【ソウル=上杉洋司】韓国政府は16日、新型コロナウイルスの急激な感染拡大を受け、飲食店の営業時間制限などを再び導入すると発表した。感染予防と経済活動の両立を目指す「ウィズコロナ」の試みは、わずか1か月半で撤回に追い込まれた。
規制は18日から1月2日まで実施し、飲食店やカフェの営業時間を午後9時までに制限する。客は1組4人までで、ワクチン未接種の場合は1人での利用しか認めない。自宅などで親戚や友人が集まる場合も、最大人数は4人までとする。人数制限に違反すると、最大10万ウォン(約9600円)の過料が科される。
韓国では、11月まで最大4000人程度だった1日の新規感染者が、今月14日には7850人にまで増えた。16日現在の重症者は過去最多の989人で、政府が安定的な対応が可能とした500人の倍近い水準に達した。オミクロン株も市中感染が確認されており、感染者はソウルなど各地でこれまで148人に上る。
韓国政府は、重症者用の病床確保を進めているが、首都圏では15日の病床稼働率が87%に達するなど、ほぼ埋まっている状況が続く。入院できず自宅で療養する感染者は1500人以上に上る。11月28日以降、少なくとも30人が自宅で死亡したという。医療従事者からは、新型コロナ以外の診療に支障が出ているとの訴えが出ており、「医療崩壊」を懸念する声が強まっている。
感染者は、10月にワクチン接種が始まったばかりで接種が遅れている12~17歳で多い。2回の接種を終えても感染する「ブレイクスルー感染」は60歳以上で目立つ。 金富謙 首相は16日の会議で「国民は積極的にワクチンを接種してほしい」と述べた。