2022年の米国株を巡って、強気派と弱気派の意見が交錯しています。鍵になりそうなのがインフレと新型コロナウイルスの状況です。ましになるとみるか、長引くと予想するのかで、相場展開の描き方も違ってくるようです。来年の干支(えと)は「千里を走る」とされる寅(とら)。この2つの懸念材料に足をすくわれないといいのですが。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
5000突破へ
ウォール街屈指の強気派として知られるロイトホルト・グループの主任投資ストラテジスト、ジム・ポールセン氏はS&P500種株価指数について、米利上げ開始を受けて2022年後半に調整入りするまで上昇を続けると予想。5000を突破したのち調整局面に入るが、その後の持ち直しで22年末には同水準を回復するとの見方を示した。新型コロナ感染症がパンデミック(世界的大流行)からエピデミック(普通の流行)になるかもしれないとの期待感や、インフレが和らぎつつあるとの認識が5000突破予想の根拠。
弱気派の論拠
弱気シナリオを唱える主流派は、S&P500種の営業利益率予想が10月中旬に勢いを失った点を指摘する。決算発表シーズンでは、投入コストの上昇と労働力不足に関する企業の警告が相次いだ。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のジーナ・マーティン・アダムズ氏は「高価格にうんざりし始めた消費者の反撃が始まっている。それは利益率に表れるようになった」と説明。ミラー・タバクのマット・メイリー氏も需要動向の転換点は近づいていると指摘する。
前途多難
世界保健機関(WHO)のマイク・ライアン氏は「ウイルス自体が完全になくなる公算は非常に小さく、恐らく低水準での感染パターンに落ち着き、ワクチン接種が不十分な集団で時折流行が発生するようになるだろう」と指摘。その上で「しかし、まだその段階には達していない。低水準への道は前途多難だ」と述べた。米国ではオミクロン株の広がりに伴い子どもの入院が増えていると、米疾病対策センター(CDC)のワレンスキー所長が発言。「子どもに接種を受けさせよというのがメッセージだ」と語った。
利払い期限過ぎる
中国恒大集団はドル建て債2本の利払い期限を28日に迎えたが、クーポンが支払われた様子はない。デフォルト(債務不履行)と認定されるかどうかは、30日間の猶予期間後となる。ブルームバーグ・ニュースが確認した目論見書によれば、この2本のドル建て債は支払い・証券代行をシティバンクのロンドン支店が担当している。28日は英国の祝日だった。
勢いに陰り
11月の米中古住宅販売成約指数は前月比で予想外の低下となった。高価格と在庫薄が購入を限定し、年末を前に勢いが弱まったことが示された。全米不動産業者協会(NAR)のチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は「販売成約活動が今回衰えた原因は在庫水準の低さにあると考える。高価格が買い手をためらわせた側面もあるだろう」と分析。「今年はサプライチェーン問題や労働力不足の悪影響も避けられずにいる」と指摘した。
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