[ワシントン 7日 ロイター] – 米労働省が7日発表した2021年12月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比19万9000人増と、市場予想の40万人増を下回った。労働力不足が重しとなった。新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動が混乱する中、短期的には雇用の伸びは緩やかな状態が続く可能性がある。

同時に、12月の失業率は22カ月ぶりの低水準となる3.9%と、前月の4.2%から改善し、労働市場がタイトな状態になっていることが示された。市場予想は4.1%だった。

11月の雇用者数の増加幅は当初発表の21万人から24万9000人へ上方改定された。21年通年での増加幅は640万人と、1939年の統計開始以降で最大となり、好調な回復基調を示唆した。

バイデン米大統領は、自身の進める「経済計画が奏功していると言える。計画によって、米国の雇用は回復し、立ち直りつつある」と言明した。

しかし、雇用者数は依然として20年2月のピークを360万人下回っている。

BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サール・グアティエリ氏は「人手不足が主因となり、米労働市場は年末にかけ幾分失速した可能性があるが、少なくとも現時点では十分に持ちこたえている」とし、「1月の統計は低迷する可能性があり、その後数カ月は、現在の新型コロナ感染の波に左右される」と述べた。

12月の失業率が米連邦準備理事会(FRB)の長期予測である4%を下回ったことで、一部のエコノミストの間では3月にも利上げが始まるという観測が高まった。

シティグループのチーフ米国エコノミスト、アンドリュー・ホレンホースト氏は「大半のFRB当局者は最大雇用を達成したと結論付けるだろう。初回の利上げは3月、22年中に4回の利上げが実施されると予想する」と述べた。

12月の統計は業種別で、レジャー・接客が5万3000人増、専門職・企業サービスが4万3000人増、製造業が2万6000人増、建設業が2万2000人増だった。輸送・倉庫業なども増加した。

一方、小売は減少。政府部門も1万2000人減少した。

家計調査に基づくと、12月は16万8000人が労働市場に参入した。労働参加率は前月から横ばいの61.9%で、コロナ禍前の63%を引き続き下回っている。人口に占める雇用者の比率は59.5%と、11月の59.3%から上昇した。

労働市場の逼迫を反映し、時間当たり平均賃金は前月比0.6%上昇と、11月の0.4%上昇から伸びが加速。しかし、前年同月比では4.7%上昇と、5.1%上昇から鈍化した。

平均週間労働時間は横ばいの34.7時間だった。

米労働省が4日に発表した11月の雇用動態調査(JOLTS)は自発的な離職件数が過去最大、求人件数の高止まりを示し、深刻な人手不足の状況を浮き彫りにした。