【ソウル時事】3月の韓国大統領選で、保守系最大野党「国民の力」候補の尹錫悦前検事総長は6日、選挙運動に非協力的だった李俊錫党代表と和解し、結束を演出した。李氏をめぐる陣営の内紛が最近の支持率下落の一因だっただけに、革新系与党「共に民主党」候補の李在明前京畿道知事への劣勢挽回に向け一歩前進した形だ。
尹氏と摩擦を繰り返してきた李俊錫氏は昨年12月下旬に選挙対策委員会を離脱。尹氏は今月5日、選対を解散して「出直し」を宣言したが、党内では6日、李氏の代表辞任を求める声が噴出した。しかし尹氏は議員総会で「力を合わせて勝利しよう。(内紛は)全て忘れよう」と訴え、李代表と抱擁。李代表も「尹氏と信頼を構築し、選挙の勝利で応える」と強調した。
尹氏は若年層の支持離れが顕著で、若者に支持される李代表の協力が不可欠と判断したとみられる。ただ、「互いに不信感があった」(関係者)とされ、党内には李代表への不満がくすぶる。3月9日の投票日まで2カ月残っており、結束を維持できるか尹氏の指導力が問われそうだ。
一方、尹氏にとっては、保守中道「国民の党」候補、安哲秀代表との保守勢力一本化も課題だ。安氏は尹氏の支持率下落と反比例して支持を伸ばし、韓国ギャラップが7日発表した支持率は、李在明氏36%、尹氏26%、安氏15%。疑惑を抱える李、尹両氏と異なり安氏はクリーンなイメージで、好感度は最も高かった。
李在明氏リードの情勢で保守分裂となれば尹氏の勝利は危うい。尹氏陣営関係者は「最終的には一本化が必要だろう」と語る。安氏は「政権交代を担うのは自分だ」という立場を崩していないが、安氏が首相ポストなどと引き換えに尹氏支援に回るといった観測が絶えない。