新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染急拡大を受け、岸田文雄首相は11日午前、外国人の新規入国を原則停止している水際対策を2月末まで延長する方針を表明。ワクチン接種の前倒しを進める一方、これまで対象外だった12歳未満への接種も早期に始める考えを示した。
首相官邸で記者団の取材に答えた。水際対策について首相は「人道上、国益上の観点から必要な対応を行いつつ、当面の対応として、2月末まで現在の水際対策の骨格を維持する」と述べた。
政府は現在、外国人の新規入国を一時停止。日本人などの入国者には14日間の隔離を要請し、うちオミクロン株が報告されるなどした国・地域からの入国者には3~10日の施設待機を求めている。
当初は、オミクロン株の感染が国内で初めて確認された昨年11月30日から1カ月間の措置だったが、当面継続とし、今月8~10日の3連休明けに状況を分析して首相が判断することになっていた。
3回目のワクチン接種については、11月まで東京と大阪に設置していた自衛隊による大規模接種会場を再び開設する方針を示した。都道府県には大規模接種会場の設置を促し、市中にある全国900万回分の未使用ワクチンも活用して、さらなる高齢者接種の前倒しを進めるという。
「過度に恐れることなく、冷静な対応を」
オミクロン株は子どもの感染も多く見られることから、ワクチン接種の対象になっていなかった12歳未満の子どもに対しては「薬事など必要な手続きを経て、希望者にできるだけ早くワクチン接種を開始する」と述べた。
さらに学校に対し、休校時のオンライン授業の準備を進めるとともに、入試の機会を確保し、4月以降の入学を認めるなど柔軟な対応を求めるとした。
オミクロン患者の入退院基準の見直しについても触れ、「先進諸国の取り組みも参考にしながら、科学的知見の集約を進め、対応を示していく」と述べた。
首相は10日、政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長らと意見交換。専門家から「オミクロン株について感染力が高い一方、感染者の多くは軽症・無症状であり、重症化率は低い可能性が高い。一方で、高齢者に急速に広がると、重症者が発生する割合が高くなるおそれがある」とする分析が報告されたと説明。「過度に恐れることなく、3密の回避など冷静な対応をお願いしたい」とも呼びかけた。