商務省が14日発表した2021年12月の小売売上高(季節調整済み)は前月比1.9%減少した。11月の0.2%増からマイナスに転じ、10カ月ぶりの大幅な落ち込みとなった。<ロイター日本語版>
減少の理由についてロイターは「新型コロナのパンデミック(世界的大流行)に伴うサプライチェーン(供給網)のボトルネックが招いた品不足を受け、消費者がホリデーシーズンの買い物を前倒ししたことが響いた公算が大きい」と分析する。要するに買うべきものは前倒しで買っており、「消費支出に陰りが見えてきた兆候とはとらえていない」(ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、ティム・クインラン氏)というわけだ。
ブルームバーグは少し違った受け止め方をしている。「コロナウイルスの感染が広がる中でインフレも高進し、消費への逆風が強まったことが示唆された」。コロナについてはオミクロン株という新しい要因があった。だが、感染は始まったばかりであり、これが買い控えを誘発したとは思えない。懸念すべきは「インフレの高進」だ。消費者が前倒しで買った理由は「サプライチェーンのボトルネックが招いた品不足」ではなく、「インフレ高進」の可能性があるのではないか。
インフレの高進が前倒し消費の理由だとすれば、物価上昇が止まらない限り消費者は「買い物を控えるようになる可能性が示唆された」ことになる。まさに「消費への逆風示唆」だ。「消費支出に陰りの兆候はない」とするロイターの解釈よりも、「消費への逆風が強まった」とするブルームバーグの分析の方が実体に近い気がする。この解釈が正しければ、堅調な消費に支えられてきた米国経済の先行きに暗雲が立ち込めたことになる。