[ワシントン 14日 ロイター] – 米商務省が14日発表した2021年12月の小売売上高(季節調整済み)は前月比1.9%減少した。11月の0.2%増からマイナスに転じ、10カ月ぶりの大幅な落ち込みとなった。
新型コロナのパンデミック(世界的大流行)に伴うサプライチェーン(供給網)のボトルネックが招いた品不足を受け、消費者がホリデーシーズンの買い物を前倒ししたことが響いた公算が大きい。
市場予想は横ばいだったが、予想値は2.0%減から0.8%増まで幅があった。
前年同月比では16.9%増加した。
ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、ティム・クインラン氏は12月の減少について、消費者による買い物の前倒しに加え、21年初めに見られたモノへの支出急拡大が背景とし、「消費支出に陰りが見えてきた兆候とはとらえていない」と述べた。
シティグループのチーフエコノミスト、アンドリュー・ホーレンホースト氏も「モノに対する名目および実質支出は高止まりしてり、今回の統計の内容が、3月と想定される米連邦準備理事会(FRB)の利上げに大きく影響するとは考えていない」と述べた。
統計の内訳では、オンラインストアの売上高の減少が目立ち、8.7%減。自動車・部品も0.4%減だった。
電化製品・家電は2.9%減、ガソリンスタンドも0.7%減だった。
食品・飲食は0.5%、衣料品は3.1%、家具は5.5%それぞれ減少した。
レストラン・バーも0.8%減。ただ、前年同月比では41.3%増加した。
建設資材・園芸は0.9%増だった。
国内総生産(GDP)の個人消費項目に密接に関連しているとされる自動車、ガソリン、建設資材、外食を除くコア小売売上高は3.1%減。11月のコア小売売上高は前回発表の0.1%減から0.5%減へ下方改定された。
しかし、昨年第4・四半期GDP見通しは変わらないとみられる。
エコノミストらによると、10月のコア小売売上高が急増し、昨年第4・四半期(10─12月期)の堅調な経済成長を確実にした。インフレ率は賃金上昇を上回っているものの、多額の貯蓄と雇用の安定の高まりが消費を支えている。
昨年第4・四半期のGDP成長率は、最も高い予想で年率換算7.0%。第3・四半期の経済成長率は2.3%だった。2021年の通年での成長率は1984年以来の大きさとなる見込み。