【ロンドン時事】英首相官邸は14日、昨年4月のエリザベス女王の夫フィリップ殿下の葬儀前夜に官邸内でパーティーが開かれていたと報じられたことを受け、女王に謝罪したと明らかにした。政府が決めた新型コロナウイルスのルール違反が芋づる式に発覚している官邸のパーティー疑惑は、国民の尊敬を集める女王への謝罪に発展した。

 この疑惑は13日夜にデーリー・テレグラフ紙が報道。それによると、殿下の死去で国中が服喪期間だった昨年4月16日、官邸内で二つの送別会が別々に開催された。職員が近くの生協までスーツケースを持参し、ワインボトルをいっぱいに詰め込んで官邸に戻って来たとの証言もある。それぞれの参加者は官邸の中庭で合流し、翌日未明まで飲酒やダンスなどに興じたという。

 ジョンソン首相はロンドン近郊の首相別荘チェッカーズに滞在していたため、パーティーには参加しなかった。当時のルールでは屋内で異なる世帯の人との交流は禁止され、屋外でも最大6人までに制限されていた。

 一方、ロンドン近郊ウィンザー城の礼拝堂で4月17日に行われた殿下の葬儀では、マスクを着用し、政府のルールに従って一人きりで座る女王の姿が写真に収められていた。官邸報道官は英メディアに「国が喪に服す時に開かれたのは極めて遺憾だ」とコメントした。

 最大野党・労働党のスターマー党首はツイッターで「首相が女王に申し出るべきなのは謝罪だけではない。辞任もだ」と主張。首相の側近の一人で後継候補と目されるトラス外相も「非常に懸念している。国民の怒りを理解する」と述べた。