バイデン米大統領は19日、就任から1年の節目を前にホワイトハウスで記者会見を開いた。緊迫するウクライナ情勢について、ロシアが侵攻に踏み切るとの見方を示し、その場合は経済制裁によって「高い代償を支払い、後悔することになる」とロシア側に強く警告した。
ウクライナ国境には10万人規模のロシア軍が展開し、軍事侵攻の恐れが高まっている。バイデン氏は、プーチン大統領の今後の判断について「彼は動くと予想する」と述べ、侵攻に出る可能性を指摘した。侵攻すれば、「ロシアにとって大惨事となるだろう」とし、大規模制裁でロシア経済が打撃を受けることになると述べた。また、沈静化に向けたプーチン氏との首脳会談については「可能性はあると思う」と語った。
バイデン氏は昨年1月20日に大統領に就任した。会見では新型コロナ対策や経済について「2100万人がワクチン接種を完了し、600万の新たな雇用を創出した」と1年目の成果を誇った。一方で、新型コロナや物価の高騰が支持率低迷の原因になっていることを念頭に、「国の中に欲求不満と疲れがあるのは承知している」と述べ、この二つの課題に注力する姿勢を強調した。
新型コロナ対策では、ワクチン接種を改めて呼びかけたほか、検査キットの無料配布などの取り組みを進めていると強調。また、「学校閉鎖やロックダウン(都市封鎖)に戻ることはない」として、「我々は新型コロナが日常生活の障害にならないような時期に向け前進している」と述べた。インフレ対策についても、要因の一つである供給網の混乱解消などに取り組むと訴えた。(ワシントン=大島隆、高野遼)