[香港 19日 ロイター] – 中国政府が、不動産業界の資金繰りを支援する新たな規制を策定している。複数の関係筋によると、不動産開発業者が債務を返済したり取引業者に支払いするために、地方政府が管理する預託口座から資金を引き出しやすくするという。

中国の不動産開発業者は住宅物件を完成前に販売することが認められているが、売却で得た資金は地方政府が管理する預託口座に入れなければならない。

昨年、中国恒大集団の債務問題が業界全体の問題と懸念される中、多くの地方政府が預託口座からの資金引き出しを規制し、業界の資金繰り難に拍車を掛けた。

ただ、全国レベルの規制がないことから、年末にかけて一部で規制を緩和する動きも出た。

関係筋によると、国務院(内閣)金融安定発展委員会の指導で住宅都市農村建設省などの不動産関連当局が全国を対象とする新規則を策定しており、最短で1月末の発表を目指している。

規則案は、預託口座の資金の使途について、物件の完成を第一とし、その上で他の目的に使うことを認める。

信用力が比較的高い不動産業者のオンショア債務の返済を優先するという。

野村の試算では、中国不動産開発業者のオンショアおよびオフショア債務が迎える期日は今年の第1・四半期と第2・四半期にそれぞれ約2100億元(330億ドル)。21年第4・四半期は1910億元だった。

このロイターの報道を受け、19日の香港株式市場でハンセン本土不動産株指数は5.87%高で終了。世茂集団、融創中国、碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)がそれぞれ11.3%、7.6%、8.3%上昇した。

融創や碧桂園などの米ドル債も上昇した。