[ニューヨーク/ロンドン 24日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、ウクライナを巡る地政学上の懸念が高まる中、ドル指数が2週間ぶりの高値を付けた。米連邦準備理事会(FRB)が今週の会合でタカ派的なスタンスを示すとの観測もドルの押し上げ要因になっている。
ロシアがウクライナとの国境沿いで軍を増強させていることについて市場はこれまで大きく反応してこなかったが、北大西洋条約機構(NATO)はこの日、欧州東部への戦艦や戦闘機の配備を強化し、南東部にも追加部隊を派遣する姿勢を表明。これに対しロシアはウクライナを巡る緊張を一段と高める行為として非難し、ここに来て緊張が一段と高まっている。
こうした中、NATO外交筋はロイターに対し、米政府は欧州西部に配備している兵士の一部を向こう数週間で段階的に東部に移動させることを検討していると指摘。米国務省は23日、ロシアが軍事行動を取る恐れがあるとして、在ウクライナ大使館職員の家族に出国を命じたほか、米政府職員の自主的な出国を認めたほか、米国民も直ちに国外退避を検討すべきと表明した。
バノックバーン・グローバル・フォレックスのチーフ市場ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「仮想通貨であれ、株式であれ、損失を被った人たちが誰のせいでこのような目に遭ったのか犯人探しをしており、FRBかロシアのどちらかのせいにしようとしている」とし、株式が大幅に売られたことの要因は「全てがロシアに起因するものではない」と指摘。ただ「このことは、実際に戦闘が始まったときに市場が劇的に反応しないということは意味していない」と述べた。
INGバンクのストラテジスト、フランチェスコ・ペソレ氏は、ウクライナを巡る対立からロシアが欧州に対する天然ガス供給を削減する恐れが高まっているとし、市場ではユーロに対する一段のリスクプレミアムが織り込まれていると述べた。
主要6通貨に対するドル指数は0.25%高。
ユーロは対ドルで0.14%安の1.1324ドル。ユーロは安全通貨とされるスイスフランに対しても下落し、一時は1.0298フランと、2015年5月以来の安値を付けた。
スイスフランと同じく安全通貨と見なされる円は対ドルで 一時やや上昇したものの、その後は0.01%安の113.69円。
ドル指数は今月14日以降、約1.5%上昇。14日以降、複数の銀行がFRBの金融引き締めの規模とペースを巡る予想を上方修正しているが、FRBが25─26日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で明らかになると見られている。今回のFOMCでFRBは3月の利上げ着手を示唆すると予想されているほか、資産縮小ペースについても何らかの手がかりを与える可能性がある。
中国人民元は1ドル=6.324元と、18年5月以来の高値を更新。中国人民銀行(中央銀行)による金融緩和のほか、不動産市場を巡る懸念の後退を受け、国債を中心として中国市場に資金が流入している。
世界的にリスク資産に売りが出る中、暗号資産(仮想通貨)のビットコインは一時3万2967ドルまで下落。3万4000ドルを下回るのは昨年7月末以来初めて。
イーサも下落し、約2244ドルと、昨年7月以来の安値を付けた。
ドル/円 NY午後4時 113.98/113.99
始値 113.81
高値 113.99
安値 113.66
ユーロ/ドル NY午後4時 1.1320/1.1321
始値 1.1304
高値 1.1334
安値 1.1291