[ワシントン/モスクワ 25日 ロイター] – ウクライナ情勢が緊迫化する中、西側諸国は25日、ロシアの侵攻に対する備えを強化した。米政権が欧州へのエネルギー供給の維持について協議を進めたほか、バイデン米大統領はロシアのプーチン大統領に直接制裁を課すことを検討すると表明した。

北大西洋条約機構(NATO)は前日、欧州東部に艦艇や戦闘機を増派し、南東部にも追加部隊を派遣する姿勢を示した。これに対し、ロシアはウクライナを巡る緊張を一段と高める行為として非難した。

ウクライナのゼレンスキー大統領は25日夜のテレビ演説で、国民に冷静さを求めた上で、ロシア、ドイツ、フランス首脳らとの会談開催に向けた作業が進行中と述べた。

バイデン大統領は、ウクライナに米軍部隊を派兵することはないと強調した一方、プーチン大統領に直接制裁を課すことを検討するとし、ロシアが「ウクライナに越境すれば、重大な結果を招く」と語った。

25日には軍装備品と軍需物資を積んだ米軍機がウクライナの首都キエフに到着した。

米国防総省は米軍約8500人が警戒態勢に入り、NATO東部への配備命令を待っていると発表。バイデン大統領は25日、近いうちに部隊を移動させる可能性があると述べた。

英国のジョンソン首相は議会で「西側諸国が今結束することが絶対的に重要だ。ロシアの侵攻を阻止するために、今結束することがはるかに効果的だからだ」と主張。「欧州の友好国」に対し、侵攻があればすぐに制裁措置を発動するために準備を進めるよう要請した。

また、世界の銀行間決済システムを運営する国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアを排除する可能性について米英が協議していると明かした。

こうした中、米政府当局者は25日、ロシアがウクライナを侵攻した場合に備え、欧州に対するエネルギー供給について、バイデン政権が世界の主要なネルギー生産国や企業と協議を進めていると明らかにした。協議を行っている国や企業については具体的に明らかにしなかったものの、冬の間に欧州へのエネルギー供給が途絶えることがないよう、液化天然ガス供給業者などとの広範な協議が進められているという。

一方、フランスのマクロン大統領は25日、プーチン大統領との電話会談を28日に実施し、ウクライナに対するロシア側の意向を明確化するよう求めると述べた。

マクロン大統領とドイツのショルツ首相はベルリンでの共同記者会見で、ウクライナへの支援を強調した上で、ロシアがウクライナを攻撃した場合、高い代償を払うことになるとの見解を改めて示した。

ロシア、ウクライナ、ドイツ、フランスの高官は26日にパリで「ノルマンディー方式」と呼ばれる4カ国会談を実施する。ウクライナ東部の紛争終結に向けた方法を模索する。