Jerome Powell, chairman of the U.S. Federal Reserve, speaks during a live-streamed news conference following a Federal Open Market Committee (FOMC) meeting in New York, U.S., on Wednesday, Dec. 15, 2021. Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

米連邦公開市場委員会(FOMC)は25、26両日に開催した定例会合で、利上げ開始が「近く」適切になるとの認識を示したほか、利上げ開始後に債券保有を縮小すると示唆した。高インフレと闘うため、新型コロナウイルス禍への対応として導入した超緩和策の終了に向けて動き始める。

FOMC声明:FF金利の誘導目標レンジ引き上げ、近く適切になる

  米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、FOMCには3月に政策金利を引き上げる準備が整っているとしたほか、毎会合で利上げを決定する可能性も排除しない姿勢を示した。

  パウエル議長は26日、声明発表後にオンライン形式で開いた記者会見で、状況が適切であれば「委員会は3月会合でフェデラルファンド(FF)金利を引き上げることを意識している」と指摘。一方、金融政策は「敏しょう」でなければならないとし、今後の政策の道筋について当局者らはいかなる決定も下していないと説明した。

パウエルFRB議長の記者会見(抜粋)Source: Bloomberg

  FOMCは会合後に発表した声明に、「インフレ率が2%を大きく上回り、労働市場に力強さが見られる状況で、委員会はFF金利の誘導目標レンジ引き上げが近く適切になると見込んでいる」と記した。また別の声明ではバランスシート縮小のプロセスについて、「FF金利誘導目標レンジの引き上げプロセスを開始した後に実施する」と説明した。

米FOMC、バランスシート縮小は再投資額の調整通じて行う-声明

  ルネサンス・マクロ・リサーチの経済調査責任者、ニール・ダッタ氏は「パウエル議長の記者会見でのトーンはタカ派寄りだ」と指摘。「FOMCは雇用の下向きのサプライズに対応する緩和よりも、インフレの上向きのサプライズに対応する利上げの方を速いペースで実施することにずっと積極的になるだろう」と語った。

  利上げが実施されれば、2018年以来となる。多くのアナリストは3月に0.25ポイント引き上げ、年内にさらに3回、その後も追加利上げがあると予想している。

  FOMCは今回の声明で利上げ開始時期について、具体的に3月になるとまでは記さなかった。また「経済見通しへのリスクは、新型コロナウイルスの新たな変異株に伴うものを含めて残っている」と引き続き指摘した。

  一方で前回声明の冒頭にあった「米連邦準備制度は現在の困難な時期に米経済を支えるため、あらゆる手段を用い、それによって最大限の雇用と物価安定という目標を促進することにコミットしている」との文言は、今回は削除された。

  今回の会合ではFF金利誘導目標レンジの0-0.25%での据え置きを決定。この決定は市場の予想通りだった。また資産購入について予定通り完了するとし、このままいけば「3月初め」に終了するとした。今回の決定は全会一致だった。

原題:Powell Backs March Liftoff, Won’t Rule Out Hike Every Meeting(抜粋)

(パウエル議長の発言と市場関係者のコメントを追加し、更新します)