[東京 8日 ロイター] – ソフトバンクグループ(9984.T)が8日に発表した2021年10─12月期決算は、純利益が290億円だった。米国の利上げ観測が高まり、流動性相場が世界的に変調を来たす中、株安が直撃し前年同期の1兆1709億円から98%減少した。会見した孫正義会長は「冬の嵐の真っただ中にいる」と語った。
<投資はペースダウン>
同期間の傘下ビジョン・ファンド(VF)の投資利益は1114億円。前年同期の1兆3921億円から92%減少した。韓国ネット通販大手クーパンを筆頭に、投資先15社で計2兆3793億円の評価損を計上した。
会見した孫正義会長は、冬の嵐は「まだ続いている」と投資環境の厳しさを表現。今年に入り「(投資件数の)ペースと(1件当たりの投資)金額を若干落としている」ことを明らかにした。
同時に、新規投資先の開拓は継続しているとして「入口が安くなるのは成績を上げるのに悪いことではない」と前向きな姿勢をアピール。「必ず春は来る。新たな種は植えている。芽は着実に出始めている」と強調した。
<「しばらくバリバリの現役で」>
4─12月期累計の純利益も前年比87%減の3926億円と大きく減少。持ち株会社が159億円の利益を確保した一方、VFが7677億円の損失を計上した。損失額はクーパンで1兆1234億円、中国配車サービスの滴滴出行(ディディ)で6302億円。
孫会長によると、ビジョンファンドの投資先時価に占める中国の比率は18%まで低下し「元本とほぼ同じ」水準に達したという。
IBESがまとめたアナリスト10人の通期純利益の予想平均値は1兆2240億円。同社は見通しを開示していない。
ソフトバンクGは副社長だったマルセロ・クラウレ氏が1月に退任。自身の後継者問題について問われた孫会長は「経営が楽しくて仕方がない。後継者は探すがしばらくはバリバリの現役で行きたい」と語った。
(基太村真司 編集:久保信博)