【ワシントン時事】ウクライナ情勢が一気に切迫感を増している。バイデン米大統領は10日夜、ホワイトハウスのシチュエーションルーム(作戦司令室)に安全保障担当の側近らを集め、ロシア側の最新の動きを協議。翌11日にサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)がウクライナ在住米国人に「48時間以内の退避」を呼び掛け、12日には米国務省が在ウクライナ米大使館の職員の大半に退避を命じた。ロシアが来週にも軍事攻撃に踏み切るとの観測も浮上し、原油先物相場は急上昇した。

 12日には、米仏首脳がそれぞれロシアのプーチン大統領と電話で会談。バイデン氏は土壇場の交渉で、軍事衝突回避に向けた措置を求めたとみられる。

 「プーチン大統領が軍事攻撃を決断した」。米主要メディアの複数の記者は11日、欧米の政府当局者らの話として「週明けにもウクライナ侵攻が始まる」とツイッターに書き込んだ。

 サリバン氏はその後行われた記者会見で「プーチン氏が最終決断を下したかは分からない」と火消しを図った。ただ「(ロシアは)大規模な軍事行動を実施するのに必要なすべての戦力を整えた」と指摘。情報を得れば得るほど、北京冬季五輪の開催中であっても軍事攻撃を決断する可能性があるという見方が強まっていると警告した。

 また、侵攻は空爆やミサイル攻撃から始まる可能性が高いと分析。民間人に被害が出る恐れがあるとして、ウクライナからの即時退避を求めた。

 バイデン政権はこれまで「外交の余地は残されている」と繰り返してきた。だが、サリバン氏は「ロシアが外交解決の道を探るなら、われわれにはその準備がある」と述べるにとどめ、情勢がより切迫している様子をうかがわせた。