【モスクワ、ワシントン時事】ロシアは安全保障に関する米国への返答で、ウクライナ侵攻の意図を否定した。ロシア外務省が17日、内容を公表した。一方、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟し、ロシアが実効支配するクリミア半島を奪還しようとすれば、ロシアとNATOの武力衝突が起きる恐れがあると警告した。

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 ロシアはウクライナ情勢に関し、「米国とその同盟国が昨年秋から主張しているウクライナへの『ロシアの侵攻』はなく、計画もない」と指摘。情勢の緊迫化は安全保障に関するロシアの提案に「圧力をかける試み」と非難した。ロシアは返答の中で、中東欧やバルト3国からの米軍の撤退などを求めた。

 ロシアはNATO加盟を目指す隣国ウクライナに軍事圧力をかけ、米欧にNATO不拡大などを要求。昨年12月に米国などに条約案を突き付けた。米国などは今年1月にロシアに対して書面で回答し、NATO不拡大などを拒否。ロシアは今回、この書面回答に返答した。

 ロシア外務省は返答で、ロシアの要求に対し、米国などが「建設的な回答をしていない」と批判し、安全保障上のロシアの権利が「無視されている」と強調。米国が交渉する意向がない場合は「ロシアは軍事技術的な措置を含めて対応を余儀なくされる」と述べた。

 一方、米国務省によると、ロシア政府は在ロシア米大使館ナンバー2のゴーマン首席公使を国外追放した。国務省報道官は声明で「いわれのない理不尽な行為だ」として、「根拠のない米外交官の追放」をやめるよう求めた。