[ワシントン 17日 ロイター] – 米労働省が17日に発表した今月12日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比2万3000件増加し、24万8000件となった。市場予想は21万9000件だった。予想に反して増加したが、労働市場が引き締まった水準にとどまった。

新型コロナウイルスのオミクロン変異株による感染者の急拡大を受け、申請件数は1月中旬に約3カ月ぶりの高水準を記録し、その後減少していた。ロイターの分析によると、米国での新規感染者数は1日平均14万5769人で、1月中旬の70万人超から大幅に減少している。

労働者不足は深刻で、2021年12月末時点での求人数は過去最高に近い1090万人に達している。雇用者は労働者をつなぎ留めており、失業保険申請件数は新型コロナのパンデミック(世界的大流行)前の水準を下回ってきた。申請件数は、過去最高だった2020年4月上旬の614万9000件から大幅に減少してきた。

シティグループ(ニューヨーク)のエコノミスト、ベロニカ・クラーク氏は「短期的にはある程度の労働市場の変化が続くはずだが、今後数カ月の間に申請件数がパンデミック前の水準をさらに下回ることがあっても驚きではない」とし、「企業がそもそも望ましい雇用水準に到達するのに苦戦しているため、全体的に解雇が少ないことを反映しているだろう」と指摘した。

JPモルガンのエコノミスト、ダニエル・シルバー氏は「新規失業保険申請件数には定期的なノイズがあり、様々な要因が影響することを考慮すると、申請件数の急増は現時点では特に懸念する必要はない」と指摘。「全体的には労働市場はなお引き締まっている」と述べた。

調整前の申請件数は7742件増の23万8482件。ミズーリ州、オハイオ州、ケンタッキー州が大幅に増加する一方、ペンシルベニア州、ニュージャージー州、ウィスコンシン州が減少した。

5日までの1週間の継続受給件数は2万6000件減の159万3000件。何らかの失業給付を受けている人は1月末時点で206万4000件だった。

今回のデータは、2月の米雇用統計の非農業部門雇用者数の事業所調査期間と重なっている。申請件数は1月中旬の29万件の水準を大幅に下回っている。

ブリーン・キャピタルのシニア経済アドバイザー、コンラッド・デクアドロス氏は、新規失業保険申請件数のボラティリティーや雇用統計との連動性の低さを考慮すると「現時点で労働市場のトレンドが変化する兆しはない」とした。

1月の非農業部門雇用者数は46万7000人増えた。労働市場は引き締まり、力強い賃金上昇をもたらし、高いインフレ率の要因となっている。

今月16日に発表された米連邦準備理事会(FRB)の1月25─26日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録によると、FRBの「多くの」当局者は「労働市場の状況は最大雇用を既に達成しているか、非常に近くなっている」との見方を示した。

FRBはインフレ抑制のため3月に利上げを開始すると予想されており、エコノミストらは年内に多ければ7回利上げがあると予想している。