【モスクワ時事】ロシアのプーチン大統領は21日、ウクライナ東部の親ロシア派の独立を承認する文書に署名した。親ロ派「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の幹部が同日承認を要請していた。
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プーチン政権は、2014年から続く紛争をウクライナ人同士の「内戦」と位置付け、その解決に向けた15年のミンスク合意の履行をウクライナ側に迫っていた。独立承認によって合意の前提が崩れ、情勢が流動化する恐れが強まった。米欧は一斉に非難した。
親ロ派が「国家」となれば、中央政府を無視してロシアに軍事介入を要請し、ロシア軍が正式展開することもあり得る。これまで秘密裏に軍事介入する一方で、ロシアはさらなる「軍事技術的な措置」を示唆していた。ウクライナ情勢は重大な局面を迎えた。
プーチン氏は21日の国民向け演説で「(親ロ派の)独立と主権を直ちに承認するという長く待ち望まれてきた決定を下す必要があると考える」と表明。「ウクライナの領土一体性を守るためにあらゆることを行ってきた」と述べ、ミンスク合意の履行のために「粘り強く格闘してきたが、すべては無駄となった」とし、合意を履行しなかったウクライナ政府に責任があるとの立場を強調した。
署名式はモスクワの大統領府で、親ロ派幹部も参加して行われた。ロシアと親ロ派は「友好協力・相互援助条約」も締結した。