バイデン米大統領はロシアがウクライナ侵攻を始めたと言明。米国としてロシアに対する制裁の第1弾を開始すると発表した。これより先、欧州連合(EU)と英国は一連の対ロシア制裁案を発表した。

西側諸国、対ロシア制裁で第一弾-ロシア大手銀行は対象外で株価上昇

  親ロシア派武装勢力が独立を宣言していたウクライナ東部2地域について、ロシアのプーチン大統領が前日、共和国として承認する大統領令に署名。8年間の外交努力を事実上葬り去った。ロシア上院はこの日、この地域への派兵を承認し、事態は急激にエスカレートしていた。

  ドイツのショルツ首相はこの日、ロシアとの海底パイプライン「ノルドストリーム2」の承認は現時点では不可能だと表明した。

プーチン氏、ウクライナ親ロシア派の独立承認-部隊派遣命じる

安全保障会議を開くプーチン大統領(モスクワ、2月21日)Photographer: Alexey Nikolsky/Sputnik/AFP/Getty Images

  ウクライナ情勢を巡る主な動きは以下の通り。

ロシア、大使館員のウクライナ出国を決定-外務省

  ロシア外務省は大使館・領事館職員の生命と安全を守るため、職員らのウクライナ出国を決定したと発表した。発表文によると、出国は近い将来に開始される。

  同省によると、キエフのロシア大使館とオデッサ、リビウ、ハリコフの領事館は2014年以降、建物への攻撃が繰り返されていた。

ロシア、今すぐドンバス地方に派兵する計画ない-プーチン氏

  プーチン大統領はウクライナ東部の親ロシア派分離主義勢力が支配する地域に、今すぐに部隊を展開する計画はないと述べた。ただ、それを決定する可能性はあるとし、ウクライナ政府が現在治める領土の権利を主張する分離主義勢力の要求をロシアは認めると宣言した。

  親ロ派武装勢力の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」は、ウクライナのドネツク、ルガンスク両州の約30%しか支配していない。残り70%については、この勢力がウクライナ政府と境界を画定させる必要があるとプーチン氏は語った。

  ウクライナ問題の解決を目指して結ばれたミンスク合意について、プーチン氏は「もはや存在しない」と主張し、「(ロシアによる)前日の国家承認よりはるか前に葬られている」と続けた。

分離派指導者、ロシアに軍事支援要請の可能性も-ロシア国営テレビ

ロシアは「全面攻撃」を依然計画-NATO事務総長

  北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は、ロシアが依然として「ウクライナに全面攻撃」を仕掛ける準備をしているとブリュッセルで記者団に述べた。ロシアはウクライナ攻撃を繰り返し否定している。

ロシア上院、ドンバス地方への派兵を承認

  ロシア上院はウクライナ東部の親ロ派支配地域における部隊展開を求めたプーチン大統領案を全会一致で承認した。

  2014年に親ロ派が同地域を実効支配して以来、ロシア政府は財政的にも軍事的にも支援を続けてきた。上院の承認により、プーチン氏の派兵に法的な障害は全て取り除かれた。

EUが一連の対ロ制裁案を提示

  EUが提示した制裁案によれば、ロシアの決定の背後にいる人物や親ロ派勢力地域でロシアが展開する業務に資金を融通する銀行が対象となる。またロシアによる「EUの資本・金融市場やサービスへのアクセス能力」についても制裁の対象にするという。制裁の実行には加盟国の正式な承認が必要となる。

分離派指導者、ロシアに軍事支援要請の可能性も-ロシア国営テレビ

ロシア、「地政学的に信用できない」-独経済相

  ドイツのハベック経済相は、同国は一方的なロシア産ガスへの依存を軽減する必要があると述べ、ロシア当局者は「地政学的に信用できない」もしくは「計算ずくの」対応を示していたと語った。

EU外交当局者、360人超のロシア人対象に制裁検討

  EUはウクライナ東部の分離派地域の独立承認に賛成したロシア下院議員351人を対象に制裁を検討している。EU外交当局者が機密情報だとして匿名を条件に明らかにした。このほか独立承認を提案した別のロシア人11人も制裁対象になる見通しだという。

中国外相、対話によるウクライナ緊張緩和促す-米国務長官と電話会談

ロシア、国連安保理で孤立

  21日夜の国連安保理の緊急会合ではロシアの国際的な孤立が鮮明になった。一部の国は紛争の当事者双方に緊張緩和を呼び掛けたが、ほぼ全ての安保理メンバー国がロシアを非難した。

  トーマスグリーンフィールド米国連大使は、プーチン氏が「力によって国連を茶番劇にできると示そうとしている」と発言。ウッドワード英国連大使も「ロシアがわれわれを瀬戸際に追い込んだが、われわれはロシアに引き下がるよう求めた」と述べた。

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  安保理議長も務めるロシアのネベンジャ国連大使は、ウクライナ東部のロシア系住民の扱いについてウクライナを批判。ウクライナがより攻撃的になるよう西側諸国が仕向けたと主張した。

中国は自制を呼び掛け

  中国の張軍国連大使は、全ての当事者が自制する必要があると発言。「国連憲章の目的と原則に沿って、全ての国が平和的な手段によって国際紛争を解決すべきだとわれわれは考える」と述べた。

  米国務省のプライス報道官は、ブリンケン国務長官と中国の王毅外相が電話会談し、「北朝鮮情勢やウクライナに対するロシアの侵略」について協議したと明らかにした。ブリンケン長官はその中で、「ウクライナの主権と領土保全を守る必要性を強調した」という。

米国、新たな対ロシア制裁を22日に発表-当局者

  米国はロシアに対する新たな制裁を22日に発表する計画だ。バイデン政権当局者1人が明らかにしたもので、ウクライナを巡るロシアの行動を受けた措置だという。米国は制裁の発表に向け同盟国やパートナーと協調している。

  トーマスグリーンフィールド米国連大使は21日の国連安保理の緊急会合で、米国は22日に「ロシアによる明白な国際法違反の責任を問うためさらなる措置を取る」と発言した。

原題:Biden Unveils Russia Sanctions, Cites ‘Invasion’: Ukraine Update(抜粋)