[ブリュッセル 25日 ロイター] – 欧州連合(EU)は25日の大使級会合で、ロシアのプーチン大統領とラブロフ外相の欧州内の資産を凍結することで合意した。

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、EUが対ロシア制裁を決定するのは今週に入り2回目。ドイツのベーアボック外相は、ロシアのプーチン大統領とラブロフ外相は「罪のないウクライナ人の死亡のほか、国際システムの蹂躙に責任を負っており、容認できない」とし、「EUは両氏を制裁対象に加える」と述べた。

EUの外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は、ロシアのプーチン大統領はシリアのアサド大統領とベラルーシのルカシェンコ大統領に続き、EUが制裁対象とする3人目の首脳になると指摘。今回の措置に続く3回目の制裁措置については、必要になった場合のみに策定する可能性があると述べた。

ルクセンブルクのアッセルボーン外相によると、プーチン氏とラブロフ氏に対する個人的な制裁措置はEU外相会合で決定される見通し。EU外相はブリュッセルに集まり、首脳会合で原則合意された制裁措置の詳細を詰める。

EU関係者は「われわれは可能な限り迅速に動いている」とし、「さらに多くの」ロシアのオリガルヒ(新興財閥)を対象とした制裁第3弾が実施される可能性が高いと述べた。

EUの今回の制裁措置で、ロシア政権に影響力を持つエリート層らの渡航も難しくなる。ただ、ロシアからのエネルギー輸入は対象としなかったほか、ドイツやイタリアなどの反対を受け、ロシアの国際銀行間通信協会(SWIFT)からの排除には踏み込まなかった。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア人のEUへの入域禁止やSWIFTからのロシア排除などを求めているが、オーストリアのシャレンベルク外相は「交渉の可能性を維持したいため、渡航制限には踏み切らない」と指摘。フランスのルメール経済・財務相はSWIFTからのロシア排除は選択肢の一つだが最後の手段としたほか、ドイツのベーアボック外相はロシアの親族に資金を送金する人など個人が影響を受けるリスクがあるとし、慎重な姿勢を示した。

欧州中央銀行(ECB)は「今後数時間のうちに」SWIFTからのロシア排除による影響を分析するという。