不倫スキャンダルの渦中にあったクリントン元米大統領は、1998年の一般教書演説でそれに一切触れず財政赤字削減の成果に重点を置いたことが奏功し、演説後に支持率を伸ばしました。ファイブサーティーエイトが引用したギャラップのデータによれば、10ポイントの支持率上昇です。この日のバイデン大統領の演説はインフレと経済に重点が置かれると、民主党指導部が明らかにしています。視聴者の心の琴線に触れることができるかどうか。演説は今から約5時間後、米国のゴールデンタイムに放送されます。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
手を緩めず
ロシアは目的を達成するまで「軍事作戦」を続ける方針だ。夜間にウクライナの主要都市への砲撃を強化したほか、地上では大規模部隊が首都キエフに向け進軍。ウクライナのクレバ外相によると、キエフのテレビ塔が被弾した。ウクライナ第2の都市ハリコフの市長は住宅地が砲撃を受けていると指摘し、「これはウクライナ国民を破壊するための戦争だ」と述べた。ウクライナ侵攻を巡る対ロシア制裁は続いているが、軍の動きへの影響はほぼないもようだ。ロシア国営タス通信によれば、ロシアとウクライナの次回交渉は2日に開催される。
協調放出
国際エネルギー機関(IEA)は世界各国の石油備蓄から計6000万バレルを放出する。事情に詳しい関係者によれば、協調放出の半分は米国の戦略石油備蓄(SPR)からで、残りは欧州とアジアのIEA加盟国が分担する。備蓄放出のニュースも1日の原油相場を落ち着かせることはできず、ロンドン時間午後4時13分時点で北海ブレント原油は4.2%高の1バレル=105.25ドルとなった。IEAはエネルギー市場を引き続き注視し、必要に応じて追加の備蓄放出も勧告し得ると説明した。
観測後退
金利市場はもはや、3月の米50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)利上げを想定していない。16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に関連するスワップは、24.5bpの利上げしか織り込んでいない。一方で欧州中央銀行(ECB)は経済支援策の引き揚げを続ける前に、ロシアのウクライナ侵攻による影響をしっかりと見極めるべきだと、政策委員会メンバーのレーン・フィンランド中銀総裁は述べた。性急な金融引き締めでリセッション(景気後退)を引き起こさないよう「慎重さと選択性」が正当化されると述べた。
「テクニカルなデフォルト」
ロシア中央銀行は外国人に対するルーブル建てロシア国債のクーポン支払いを禁止した。世界各国から制裁を受ける中で市場を支えるための一時的な措置だと説明した。2月初めの時点で約3兆ルーブル(約3兆円)相当のロシア債を保有する外国人投資家は、今回の禁止でクーポンを受け取れなくなる可能性がある。「今回の措置はテクニカルなデフォルトとなる公算が大きい」とバンガード・アセット・マネジメントのニック・アイジンガー氏は指摘した。
もう一つの危機
ウクライナは国内原子炉15基の安全を確保するために国際原子力機関(IAEA)に介入を訴え、原子力発電所4カ所の周囲に30キロメートルの安全地帯設置を要請した。ウクライナに侵攻したロシア軍は、欧州最大のザポリージャ原発の近くに進軍している。IAEAは状況を精査するため、2日にウィーンで緊急会合を開く。IAEAはここ数日にわたり、ロシアの侵攻でウクライナの原発インフラが被害を受け、悲劇的な事態が広がるリスクがあると警告している。