ロシアがウクライナに対する軍事侵攻に踏み切って7日目。
現地では、今もロシア軍とウクライナ軍の戦闘が続いています。
戦闘の状況や、関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる3月2日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
ウクライナ非常事態庁 “2000人以上の民間人が死亡”と発表
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続くなか、ウクライナの非常事態庁は2日、軍事侵攻が始まった先月24日からこれまでに2000人以上の民間人が死亡したと発表しました。ただ被害の詳細は明らかにしていません。
非常事態庁は「ロシア軍は、この7日間で交通インフラや住宅のほか病院、幼稚園など多くの民間施設を破壊した」とロシア軍の行為を強く非難しました。
岸田首相 ポーランド首相にウクライナ在留邦人入国で協力要請
岸田総理大臣は2日夜、ポーランドのモラウィエツキ首相と電話で会談し、ウクライナに在留する日本人のポーランドへの円滑な入国などについて協力を求めました。
EU ロシアの7金融機関 SWIFTからの締め出しを決定
EU=ヨーロッパ連合は、SWIFTと呼ばれる国際的な決済ネットワークからロシアの7つの金融機関を締め出すことを決めました。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対し、最も厳しい措置の1つとされる経済制裁が実施されることになります。貿易の停滞や通貨ルーブルの下落につながるなどしてロシア経済に大きな影響が出る見込みです。
北京パラ ロシアとベラルーシの選手 個人でのみ出場認める IPC
国際パラリンピック委員会はロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、4日に開幕する北京パラリンピックに、ロシアと、その同盟関係にあるベラルーシの選手について中立的な立場の個人としてのみ出場を認めることを決めました。
岸田首相 ウクライナからの避難民受け入れを表明
ロシアの軍事侵攻をめぐり岸田総理大臣は2日夜、記者団に対し、ウクライナから避難した人の日本への受け入れを進める方針を明らかにしました。
国際人権問題担当の首相補佐官 国連の人権理事会で演説
国際人権問題を担当する中谷総理大臣補佐官は、日本時間の2日夜、スイスのジュネーブで開かれている国連の人権理事会で演説しました。
中谷補佐官は、冒頭、ロシアの軍事侵攻に触れ「今回の侵略はウクライナの主権と領土の一体性を侵害し、武力の行使を禁じる国際法の深刻な違反で、国連憲章の重大な違反になる。わが国は最も強い言葉で非難する」と述べました。
そのうえで「ロシアに対しては、国際法上の義務の履行を強く求める」と述べました。
首相 “台湾海峡めぐる情勢への影響注視” 参院予算委集中審議
国会では2日、参議院予算委員会でウクライナ情勢などをテーマに集中審議が行われました。
岸田総理大臣は、力による現状変更をとりわけ東アジアで許してはならないとした上で、台湾海峡をめぐる情勢に与える影響を注視していく考えを示しました。
ウクライナ治安当局 “ロシア軍捕虜を撮影とする動画” 公開
ウクライナの治安当局は1日、SNS上で、ロシア軍の捕虜を撮影したとする動画を相次いで公開しました。
このうちひとつの動画ではロシア軍の戦車を操縦していたという男性が「どうしてウクライナにきたのか」と質問されると、「最初は軍事訓練のために近づいた。その後、ゼレンスキー大統領がすでに降伏したと言われた」と答え、ウクライナへの侵攻だとは知らされていなかったと話していました。
そして、「プーチン大統領によるこのような政治を残念に思う。私は支持していない」と、政権を批判していました。
また、別の動画ではロシア軍の捕虜とされる男性が母親と電話で話す様子が映っていて、男性は「自分は拷問を受けておらず、食事も与えられている。ロシア軍は負傷した味方の兵士を殺していて、自分のような捕虜の交換に応じるかはわからない」と話していました。
母親が「早く家に帰っておいで」と呼びかけると、男性は顔を手で覆うようにして泣いていました。
林外相 ウクライナ駐日大使と会談
林外務大臣は、ウクライナのコルスンスキー駐日大使と会談しました。
林大臣は、ウクライナの主権と領土の一体性に対する確固たる支持を重ねて示し、停戦に向けて、国際社会と緊密に連携して対応していく考えを伝えました。
中国 停戦に向けた仲介 具体的な言及避ける
ウクライナのクレバ外相が、1日、中国の王毅外相との電話会談で中国側に停戦に向けた仲介を求めたことについて、中国外務省の汪文斌報道官は2日の記者会見で、提案に応じる考えがあるかどうか問われたのに対し「中国は、ウクライナ危機の平和的解決につながるあらゆる外交的努力を支持している。中国は引き続き、ウクライナ情勢の緩和に建設的な役割を果たしていく」と述べるにとどめ、具体的に仲介を行う用意があるかどうか言及を避けました。
ホンダ ロシア向け輸出を停止
ウクライナに軍事侵攻したロシアへの経済制裁が強まる中、自動車メーカーのホンダは、ロシア向けの乗用車やオートバイの輸出を一時、停止する方針を決めました。
ホンダはロシアには工場がなく、乗用車については、製造拠点のあるアメリカからロシアに向けてSUV=多目的スポーツ車を輸出し、年間およそ1500台程度を販売しています。現地の物流網が混乱していることに加え、経済制裁の影響で今後、決済や資金の回収ができなくなるリスクを考慮したとしています。
キエフの男性 緊迫した状況語る
ウクライナの首都キエフに住む35歳の男性が、現地時間2日の午前1時すぎにNHKのインタビューに応じました。男性は4歳から16歳まで日本で育ち、現在は日本の健康商品などを輸入販売する会社を経営しています。
自宅から車で20分ほどの場所にあるテレビ塔が攻撃を受けたことについて、男性は「非常にショッキングです。犬の散歩で外に出たらドーンという大きな音がしたので家に戻り、ニュースを見たらテレビ塔が攻撃されたということでした。すごく近くまで被害が迫っていると感じます」と話していました。
そして「爆撃や銃声が聞こえ緊迫した状態なので、極力明かりをつけないで窓には近づかず、すぐに防空ごうに避難できるように待機しています」と、緊張を強いられながらもキエフにとどまる決意を語りました。
キエフの姉妹都市 京都市が献花台を設置
ロシアによる軍事侵攻を受けているウクライナの首都・キエフと50年以上前から姉妹都市となっている京都市は、ウクライナへの連帯と平和への願いを示すため、2日、市役所前の広場に献花台を設置しました。
献花台は京都市役所前の広場にある姉妹都市のキエフから贈られた大理石のモニュメントの前に設けられ、2日は門川市長も花束を手向けました。
ノーベル平和賞受賞団体などが共同声明
ロシアのプーチン大統領が核戦力を念頭に抑止力を特別警戒態勢に引き上げるよう命じたことについて2017年にノーベル平和賞を受賞した国際NGO、ICAN=核兵器廃絶国際キャンペーンと、去年、ノーベル平和賞を受賞したロシアの新聞の編集長、ドミトリー・ムラートフ氏は連名で共同声明を出しました。
声明では「ロシアが核兵器の脅威を段階的に拡大させていることによって、私たちはいま、キューバ危機以来となる危険なレベルの脅威にさらされている」として、特別警戒態勢の命令の取り消しやウクライナからの撤退を求めました。
ロシア人国連職員1人が国外追放
国連のデュジャリック報道官は、1日、国連に勤務するロシア人職員1人が諜報活動を行ったとして国外追放されるとアメリカ政府から連絡を受けたことを明らかにしました。
報道官は「もともと契約は今月3月14日に終了する予定だった」と説明しましたが、職員の業務内容など詳しいことは明らかにしませんでした。
バイデン大統領 一般教書演説でロシアを非難
アメリカのバイデン大統領は1日、日本時間の2日午前11時すぎから、今後1年の施政方針を示す一般教書演説を行い、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について「独裁者が侵略行為への代償を払わなければ彼らはさらなる混乱を引き起こす」と述べ、国際秩序を揺るがそうとするロシアの行為は許すべきではないと強調しました。
そして「プーチン大統領が始めた戦争は事前に計画された理不尽なものだ。プーチン大統領は世界からかつてなく孤立している」と述べ強く非難しました。
東京原油先物が上昇 NY原油も一時109ドル台に
ウクライナ情勢の緊迫化を受けて産油国ロシアからの原油の供給が滞ることへの懸念が広がり、東京市場の原油の先物価格は午前中に一時、1キロリットル当たり6万5000円をつけ、1日と比べて2000円以上、率にして3.8%余り値上がりしています。
ニューヨークの原油市場でも1日、国際的な指標となるWTIの先物価格が一時、1バレル=109ドル台をつけるなど大幅に上昇しました。
松野官房長官 大使館業務「リビウ連絡事務所などで業務継続」
松野官房長官は午前の記者会見で「ロシアよる侵略が拡大し、首都キエフの情勢が極度かつ急速に緊迫したことやG7=主要7か国すべての大使館が閉鎖したり、ウクライナの西部リビウに移動したりしたことを踏まえ、一時閉鎖し、大使館業務をリビウの臨時連絡事務所に移転した」と説明しました。
その上で「引き続きリビウ連絡事務所やポーランドのジェシュフ連絡事務所などで業務を継続し、日本人と密接に連絡を取りつつ安全確保や出国支援に最大限の取り組みを続ける」と述べました。
ウクライナ北西部のジトーミルで爆撃 2人死亡
ウクライナの当局は1日夜、首都キエフから西におよそ130キロ離れた都市、ジトーミルで爆撃があり、住宅10棟が損壊し少なくとも2人が死亡し、3人がけがをしたと明らかにしました。
10棟のうち3棟が焼けたほか、病院でも被害が確認されているということで、がれきの下に取り残されている人がいる可能性が高いとしています。
エクソンモービル 「サハリン1」撤退へ
ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、アメリカの大手石油会社エクソンモービルは、ロシア極東のサハリン沖で日本の大手商社などと進めている石油・天然ガス開発事業「サハリン1」の稼働を中止し、撤退に向けた手続きを始めると発表しました。
アップル ロシアで全商品の販売取りやめ
アメリカのIT大手アップルは、ロシアの国内で、シェア1位のスマートフォンを含むすべての商品の販売を取りやめました。
アイルランドの調査会社によりますとロシア国内におけるスマートフォンのメーカー別のシェアは先月、アップルが26%を超えて1位となっていますが、このスマートフォンを含めてすべての商品の販売を取りやめます。
さらにスマートフォンを利用した電子決済などのサービスの利用を制限したほか、国外ではロシアの政府系メディアのアプリをダウンロードできなくする措置を取りました。
首都キエフにある日本大使館 一時閉鎖に
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続き、急速に事態が緊迫化していることから、外務省は2日、首都キエフにある日本大使館を一時閉鎖しました。
残っていた大使館員も退避したということです。
外務省ではウクライナの西部、リビウに設けている臨時の連絡事務所で在留する日本人およそ120人の安全確保や出国支援などを続けるとしています。
米国防総省 ロシア軍は国境周辺の戦闘部隊の80%以上を投入
アメリカ国防総省の高官が1日、記者団に明らかにしたところによりますと、ロシア軍はウクライナ国内で戦力を増強し続け、国境周辺に展開していた戦闘部隊のうち、これまでに80%以上を投入したということです。
首都キエフに向けて南下しているロシア軍の部隊については、前日と同じ、北におよそ25キロの地点にとどまっているとの認識を示しました。
ロシア軍はウクライナ第2の都市ハリコフでは包囲を目指してウクライナ軍と激しい戦闘を続け、東部ドネツク州の都市マリウポリでは市内を砲撃できる位置にまで接近していると分析しています。
またウクライナの空域での攻防も続いていて、ロシア軍が一部の地域で支配を強めているものの、全土の制空権は奪えておらず、ウクライナ軍の防空やミサイル防衛システムは維持されているということです。
さらにロシア軍のいくつかの部隊は戦わずに降伏しているとして、高官は「これらの兵士の多くは徴兵で戦闘の経験がなく、戦闘に参加することを知らされていなかった者もいる」と指摘し、ウクライナ側から激しい抵抗を受けて士気が低下している兆候もあるとしています。
ベラルーシ大統領 「ロシアの軍事作戦には参加していない」
ベラルーシのルカシェンコ大統領は1日、安全保障に関する会議で「ベラルーシはロシアの軍事作戦には参加していない。将来的にも、われわれはウクライナにおける今回の特別な軍事作戦に加わるつもりはない」と述べました。
ポーランドへの避難 およそ41万人
ポーランド内務省によりますと、ロシアの軍事侵攻以降、ウクライナからポーランドに避難してきた人は1日の午後3時現在でおよそ41万人にのぼるということです。
このうち、ポーランド南東部の町、メディカにある国境では1日も大勢の人たちが、ウクライナ側の検問所から歩いたり、用意されたバスに乗ったりしてポーランド側に逃れてきました。ウクライナでは、防衛態勢の強化のため18歳から60歳の男性の出国が制限されていることから国境を越えてくるのは子どもを連れた女性や年配の人たちがほとんどで、待ち受けていた人たちと再会し、涙を流す人の姿も見られました。
バイデン大統領 ゼレンスキー大統領と電話会談
アメリカのバイデン大統領は1日、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話で会談しました。
ホワイトハウスの声明によりますと会談はおよそ30分続き、バイデン大統領はウクライナに対して安全保障や経済、それに人道の面で引き続き支援する考えを強調したということです。
一方、ゼレンスキー大統領は会談後、「ロシアに対する制裁やウクライナ防衛に向けた支援について話し合った。われわれは侵略者をいますぐ止めなければならない」とツイッターに投稿しました。
ゼレンスキー大統領「人々への砲撃はやめるべきだ」
ウクライナのゼレンスキー大統領は1日、首都キエフでロイター通信のインタビューに応じました。このなかでロシアとの交渉について「圧力をかけたい側とそれを受け入れられない側で立場は一致していない」と述べ、隔たりが大きいことを明らかにしました。
そのうえで「われわれは対話を続けるつもりはあるが、せめて人々への砲撃はやめるべきだ。軍用機が頭上を飛び交い、砲撃が行われている状況で交渉のテーブルにつくことはできない」と述べ、ロシアに対して攻撃をやめるよう訴えました。
そして「ウクライナが負ければ、ロシア軍はNATO加盟国の国境に押し寄せることになる。挑発的な行動をとり同じ問題を起こすだろう」と述べ、西側諸国に支援を求めました。
ウクライナ外相 中国に停戦仲介を求める
ウクライナ情勢を受けて、中国の王毅外相とウクライナのクレバ外相が1日、電話会談を行い、クレバ外相は中国側に停戦に向けた仲介を求めました。
中国外務省によりますと、この中でクレバ外相は、先月28日に行われたロシアの代表団との会談について説明し「戦争を終結させることがウクライナの最優先事項であり、現在の交渉は順調ではないが、冷静さを保って交渉を続けたい」と述べたということです。その上で「中国はウクライナ問題で建設的な役割を果たしており、停戦を実現するために中国の仲介を期待したい」と述べ、中国側に停戦に向けた仲介を求めました。
これに対し、王外相は「われわれは一貫して各国の主権と領土の一体性を尊重すると主張しており、当面の危機に対し、ウクライナとロシアが交渉によって問題解決の方法を見いだすよう呼びかけている」と述べ、話し合いによる解決を目指すべきだという立場を改めて示しました。その一方で、ロシアがNATO=北大西洋条約機構をさらに拡大させないよう求めていることを念頭に「一国の安全は他国の安全を損なうことで達成することはできず、地域の安全は軍事的なグループを拡大することで実現することはできない」とも述べ、ロシア側に配慮する姿勢も示しました。
NY原油 一時107ドル台に大幅上昇
ニューヨーク原油市場では1日、産油国ロシアからの原油の供給が滞ることへの懸念がいちだんと高まり、国際的な原油の先物価格が一時、7年9か月ぶりに1バレル=107ドル台まで上昇しました。
首都キエフのテレビ塔の周囲から大きな黒い煙
ウクライナ内務省は1日、首都キエフのテレビ塔がロシア軍に攻撃されたと明らかにしました。ウクライナの当局はこの攻撃でこれまでに5人が死亡し、5人がけがをしたとしています。
現地で撮影された映像では市の中心部にあるテレビ塔の周囲で爆発が起きたあと、大きな黒い煙があがっている様子が確認できます。
この攻撃の前にはロシア国防省がキエフにある情報作戦の拠点などを攻撃するとして周囲の住民に避難を呼びかけているとロシア国営のタス通信が伝えていました。
ウクライナから国外避難した人 前日から15万人増の67万7000人
UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のグランディ難民高等弁務官は1日の記者会見で、ロシアによる軍事侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、前日から15万人増えて67万7000人にのぼったと明らかにしました。
このうち半数がポーランドに避難したということです。
このほか、▽ハンガリーがおよそ9万人、▽モルドバがおよそ6万人、▽スロバキアがおよそ5万人、▽ルーマニアがおよそ4万人としています。
ヨーロッパでは2015年に内戦が続く中東のシリアから多くの難民が逃れてきましたが、UNHCRはこのままではそれを上回る今世紀最大の危機となるおそれがあるとしています。
UNHCRはウクライナの近隣の国々に対して、引き続き国境を閉ざすことなく避難してくる人たちを受け入れるよう呼びかけています。
日米欧など石油備蓄の協調放出で合意 原油安定供給のため
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響で原油の安定供給に懸念がでるなかIEA=国際エネルギー機関の臨時の閣僚会合が開かれ日本や欧米諸国などの加盟国は協調して6000万バレルの石油備蓄を放出することで合意しました。会議の後、萩生田経済産業大臣が明らかにしました。IEAの決定を受けた協調放出は、2011年、リビア情勢の悪化を受けて放出して以来、およそ11年ぶりです。