欧州連合(EU)はロシアを世界貿易機関(WTO)での最恵国待遇の適用から外すことを検討している。待遇が撤廃された場合、ロシアから域内への950億ユーロ(約12兆1300億円)相当の輸出は関税でさらに打撃を受ける可能性がある。
EUがすでに発動している対ロ制裁措置によって、ロシアと大半の欧州企業との金融・通商関係は相当部分が途絶している。最恵国待遇の適用停止は、ロシアとまだ取引を行うEU企業のコストが関税によって増大することになる。
EUの行政執行機関である欧州委員会のミリアム・ガルシア・フェレル報道官はブルームバーグへの電子メールの返信で、「ロシアによるウクライナ侵略への対応として、EUはロシアに対して全面的な制裁措置に踏み切った。通商に大規模な影響が及ぶのは間違いない」と指摘。「WTOの範囲でわれわれが取り得る選択肢を協議している。WTOの安全保障上のための例外を根拠に最恵国待遇の適用除外の可能性も含まれる」と続けた。
事情に詳しい関係者によれば、欧州委員会は加盟国や同盟国と協議しており、ロシアの最恵国待遇撤廃について提案を策定中だ。同関係者は非公開情報だとして匿名を条件に語った。
ロシアにとってEUは最大の貿易相手であり、2020年はロシアのモノの輸出の37%がEU向けだった。ロシア・EU間の通商規模は同年には1743億ユーロに上っていた。
原題:EU Seeks to End Russia’s Most-Favored Nation Status at WTO (1)(抜粋)