米国はロシアの侵略を受けているウクライナ向けに他の北大西洋条約機構(NATO)加盟国が軍用機を提供できるかどうかを巡り、ポーランドと協力して取り組んでいる。ホワイトハウス報道官が明らかにした。
こうした考えはNATOに加盟している幾つかの東欧諸国が拒否していたが、ウクライナのゼレンスキー大統領が5日に行った米上下両院の300人近い議員とのビデオ電話で取り上げた。電話協議後、米議員の何人かが軍用機の提供を支持すると述べた。ウクライナ軍の操縦士が訓練を受けているロシア製の軍用機が提供される可能性がある。
ホワイトハウス報道官によれば、ポーランド軍が保有機の中からウクライナに戦闘機を引き渡す可能性があり、バイデン政権はその代替機の手配を検討している。報道官は決定はポーランドが行うと指摘し、同国から軍用機をどのようにしてウクライナに移送するかなどの課題があるとも説明した。
事情に詳しい関係者の1人は、ウクライナに運ばれる軍用機の代わりとして、F16戦闘機がポーランドやスロバキアなどの国に送られる可能性があることを明らかにした。
ウクライナのクレバ外相は5日、ポーランド国境沿いでブリンケン米国務長官と会談した際、「われわれに最も必要なのは戦闘機と攻撃機、防空システムであることは周知の事実だ」と記者団に述べた。
米議会側とのビデオ電話で、ゼレンスキー大統領は追加武器支援の約束を取り付けたが、ウクライナ上空にNATOの飛行禁止区域設定を求める訴えには難色が示された。NATOと米政府は、飛行禁止区域を設定すればロシアとの戦争に突入するリスクがあるとしている。
ただ、民主党のシューマー上院院内総務は、「東欧諸国にはウクライナにロシア製の軍用機を提供」してほしいとゼレンスキー大統領が強く訴えたとする声明を発表。「こうした軍用機は極めて必要だ」と主張し、バイデン政権に働き掛けると表明した。
ホワイトハウス、ロシア産原油の米国への輸入禁止を検討-関係者
ゼレンスキー大統領はまた、米国側にロシア産原油・ガスの輸入停止に加え、ビザとマスターカードなど米企業のロシア事業を全て止めるよう要請。ビザとマスターカードは数時間後、ロシア関連業務の停止を相次ぎ発表した。
原題:White House Says U.S., Poland Working on Warplanes for Ukraine (抜粋)