マルコ・パピック氏は、政治指導者がしようとしていることを評価する場合、その人物の願望を重視しない。むしろ「物理的制約」、望むものを手に入れようとする指導者の能力がどんな要因で制限されるかに着目する。

  ヘッジファンドに投資するオルタナティブ資産運用会社クロックタワー・グループのチーフストラテジスト、パピック氏はポッドキャストで、ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻で物理的制約を無視しており、最終的に失脚につながる恐れがあると主張した。

  「地政学的アルファ:将来予測のための投資フレームワーク」(原題)の著者パピック氏は、これまでの制裁がプーチン大統領の行動に影響を及ぼしたり、打倒したりするために十分と考えられるかとの質問に対し、「プーチン氏に私が与える時間は12カ月未満だ。政策担当者が物理的制約を無視する並外れて悪い決定を下せば、罰を受ける」と指摘した。

  パピック氏によれば、40マイル(約64キロ)の車列はロシア軍の力を示すものでなく、弱さのしるしであり、空軍が下方の目標を探知する一定のルックダウン能力を有し、下方の目標を攻撃するシュートダウン能力を備える戦闘機があれば、ベルギーでも25万人のロシア兵を倒せるというのが、今回の侵攻から得られるメッセージだ。

  こうした過ちはクーデターなどでなく、物理的現実によって罰せられると同氏は断固主張する。

  一方、ウクライナでの戦争が経済と市場に及ぼす影響については、エネルギー価格上昇を乗り切るには米国の方が欧州より有利な立場にあると同氏は分析。中央銀行や債券、株式がどう反応するかはよく分からないが、「そのような世界で自分が商品を選好するということだけは分かる」と説明した。

原題:Brace for More Russian Plot Twists, Geopolitical Strategist Says(抜粋)