[ロンドン 8日 ロイター] – ロンドン金属取引所(LME)のニッケルが8日の取引で一時111%上昇し、過去最高値の1トン=10万1365ドルを付けた。ウクライナ情勢の緊迫化と対ロシア制裁で供給不安が広がっている。LMEは、取引停止という異例の措置に踏み切った。
ニッケルは主にステレンス鋼や電気自動車(EV)のバッテリーに利用され、ロシアが世界のニッケルの約10%を供給している。
LMEは、取引停止は「市場の秩序を維持するため」とし、数日間取引を停止することを検討していると説明した。また8日の営業時間の実質終了をもって取引証拠金を12.5%引き上げ1トン=2250ドルにした。
ハーグリーブス・ランスダウンのシニア投資・市場アナリストは、価格急伸で投機筋が巨額の追加証拠金を請求されたことが取引停止につながったとの見方を示した。
ED&Fマン・キャピタル・マーケッツのアナリストはリポートで「先週、過去例のないスピードで対ロシア制裁が打ち出された。投資家は供給・需要予測からロシア産のニッケルを全て除外しており、それに応じて価格が上昇している」と述べた。
豪州のコンサルタント、スティーブン・ブラウン氏は「市場は落ち着くだろう。2022年は大量の供給増加が見込まれている」とし、インドネシアで新たなニッケル・マットの生産が大量に始まり、年末にかけて価格下落するとの見通しを示した。