[ニューヨーク 9日 ロイター] – ニューヨーク外為市場ではユーロが対ドルで1.5%強急伸した。ロシアのウクライナ侵攻や西側諸国による制裁を受けた原油やコモディティー(商品)価格の高騰が一服する中、リスク選好度が回復した。

終盤の取引で、ユーロ/ドルは1.57%高の1.10645ドル。7日の取引では22カ月ぶりの安値となる1.0806ドルを付けていた。

TDセキュリティーズのシニアFXストラテジスト、メーゼン・イッサ氏は、欧州連合(EU)がエネルギー・防衛歳出の原資確保に向け債券の大規模な共同発行を検討しているという情報がユーロ押し上げに寄与したと述べた。

FXストリート・ドット・コムのシニアアナリスト、ジョセフ・トレビサニ氏は、1カ月前に1.15ドルに迫っていたユーロが1.10ドルを下回る水準まで急落したことは行き過ぎだった可能性があると指摘。「急激かつ過度に大幅な動きだ。一部で利益確定の動きやそれを巻き戻す動きとなっている」と述べた。

主要通貨に対するドル指数は1.077%安の98.052。

原油相場は急反落し、北海ブレント原油先物が17%超安、米WTI原油先物も9.7%安となった。アラブ首長国連邦(UAE)のアルオタイバ駐米大使が9日、UAEは原油増産を支持しているとし、石油輸出国機構(OPEC)に検討するよう働き掛けると述べたことが材料視された。

ポーランドの通貨ズロチとハンガリーのフォリントは対ユーロおよびドルで上昇。両国の中銀が8日に実施した利上げに反応した。

欧州中央銀行(ECB)は10日に理事会を開く。ユーロ圏がスタグフレーションに陥るリスクが台頭する中、金融市場ではECBが利上げを今年終盤まで遅らせる可能性があるという観測が強まっている。

ポンド/ドルは0.47%高の1.3162ドル。

暗号資産(仮想通貨)のビットコインは8.71%高の4万2130ドルと、2月28日以来の上昇率を記録する勢い。イーサは5.06%高の2708ドル。

バイデン米大統領は9日、中央銀行が発行するデジタル通貨「デジタルドル」に関する大統領令に署名した。デジタルドルのリスクや利点を踏まえ、必要な技術的インフラを評価するよう関係省庁に指示。さらに連邦準備理事会(FRB)に対し、研究開発に向けた取り組みを継続するよう求めた。