米国は北朝鮮の金正恩指導部が開発段階にある新たな大陸間弾道ミサイル(ICBM)のシステムを実験する目的で、最近2回のミサイル試射を行ったと判断し、新たな制裁を同国に科す準備をしている。
北朝鮮による外国からの技術購入をさらに阻止するための措置となる。バイデン政権高官が10日、記者団に明らかにした。詳細には触れなかった。
同高官によると、米当局は今回の評価を受け、黄海での偵察と情報収集の活動を強化するよう指示し、この地域で弾道ミサイル防衛部隊を拡充する。
こうした動きは、北朝鮮が2月26日と3月4日(米国時間)に行ったミサイル発射は新ICBMシステムを構成する要素の実験を意図するものだったと米情報当局が判断した後、懸念が強まっていることを示唆する。
米国防総省のカービー報道官は、「これらの発射は、2020年10月10日の朝鮮労働党パレードで最初に披露された、開発中の新しい大陸間弾道ミサイルシステムに関わると結論付けた」と声明で説明。「これら実験ではICBMのレンジは示されず、将来のフルレンジの実験を行う前に、新システムを評価することが目的だった公算が大きい。宇宙発射と偽装される可能性もある」と付け加えた。
北朝鮮は国際法の下で民間宇宙プログラムを許されているとかねて主張しているが、米国などは北朝鮮が、弾道ミサイル強化の軍事目的を隠すのに衛星プログラムを利用していると指摘している。
同当局者は匿名を条件に記者団との電話会見で今回の情報を明らかにした。国際社会に対応を促し、同盟国への安全保障リスクを減らすことを期待している。米国はロシアのウクライナ軍事侵攻前にも同様の戦略を用いた。
追加の制裁や制限措置がどの程度の影響を北朝鮮に与えられるかは不透明だ。同国は既に世界で最も厳しい制裁を受けているが、それでもミサイルや核のプログラムで前進を見せている。
原題:U.S. Says North Korea Tested ICBM Technology in Launches (1)(抜粋)