ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる11日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
シリアで戦闘員の登録手続き始まる
ロシアのプーチン大統領がウクライナに外国の戦闘員を送り込む考えを示す中、内戦が続くシリアの情報を集めている「シリア人権監視団」は8日に出した声明で、シリア国内で戦闘員の登録手続きが始まったと伝えています。
アメリカ政府も、7日、ロシアが戦力を増強するためにシリアで戦闘員を募集し、ウクライナに投入しようとしていると明らかにしています。
シリア人権監視団によりますと、戦闘員の募集は、アサド政権を支えるロシア側だけでなく、ウクライナ側についても反政府勢力の支配地域で登録手続きが始まっているということです。
ただ、戦闘員のウクライナへの派遣はまだ、いずれの側でも確認されていないとしています。シリアの戦闘員は、これまでも金で雇われた「よう兵」として北アフリカのリビアや旧ソビエトのアゼルバイジャンとアルメニアの係争地での戦闘にも派遣されていて、紛争を複雑化する要因の1つともなってきました。
ウクライナ西部 国境検問所に女性や子ども 高齢者の長い列
ウクライナ西部の町シェヒニにある隣国ポーランドとの国境の検問所には、戦闘や混乱を逃れるため女性や子ども、それに高齢者が長い列を作り、出国手続きを待っていました。
多くの人は、両手に持てるだけの小さな荷物しか持っておらず、急いで家を離れたことが伺えます。
プーチン大統領 外国の戦闘員送り込む考え示す
ロシアのプーチン大統領は11日、関係閣僚たちと国家安全保障会議を開催しました。
このなかで、ショイグ国防相が「ウクライナ東部の戦闘に志願して参加したいという申請が多くの人々、国々から寄せられている。特に中東からは1万6000人以上の申請がある」と報告しました。
これに対し、プーチン大統領は「欧米側は、世界中からよう兵を集めてウクライナに送り込んでいる」と批判したうえで「ウクライナ東部の住民を助けたいと志願する人々が戦闘地域に行けるよう支援すべきだ」と述べ、今後ウクライナに外国の戦闘員を送り込む考えを示しました。
また、プーチン大統領は、ウクライナ側から押収した欧米製の兵器を、ウクライナの親ロシア派の武装勢力に提供するよう指示しました。
プーチン大統領としては人員や兵器の投入を強化することで、戦況を有利に進めたい思惑があるとみられます。
広島 平和公園 ウクライナの子どもが描いた絵を展示
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続くなか、広島市の平和公園ではウクライナの子どもたちが描いた絵が展示されました。
11日、広島市中区の平和公園に展示された絵は、ウクライナの子どもたちが、東日本大震災を経験した日本の復興と平和を願って描いたものです。
画家のピカソがスペインへの無差別爆撃の非人道性を描いた「ゲルニカ」と同じ縦3.5メートル、横7.8メートルの大きさのキャンバスに描かれています。
1本の木になっている5つの卵型の実の中には、アジアやアフリカなど世界の大陸をイメージした景色や建物が描かれ、住んでいる地域が違っても世界はつながっているということが表現されています。
母親がウクライナ出身の男性は「罪のない民間人が攻撃を受けて亡くなっている状況をテレビなどで見て心苦しい気持ちです。こういった活動から解決の方向に向かえばと思います」と話していました。
中国の情勢詳しい専門家「ロシア支持貫けるかは見通せず」
中国の情勢に詳しい神田外語大学の興梠一郎教授は、ウクライナ情勢をめぐる中国の動向について「中国としては、ロシアとウクライナの双方と関係を維持したい立場にある。特にロシアは、米中の対立が深まる中で戦略的に重要なパートナーであることから、ロシアを支持するスタンスはなかなか変えられない」と指摘しました。
そのうえで「中国が事前にどの程度ロシアの軍事侵攻を把握していたかはよくわからないが、仮に知っていたとしても、侵攻がここまで長引き、国際社会の中でロシアがここまで孤立するとは想定していなかったのではないか」と述べました。
そして「中国がロシアへの制裁に反対していることで、中国に対する国際社会の見方も非常に厳しくなっていて、各国から二次的な制裁が科されるおそれもある。そうした中で、中国がどこまでロシア支持を貫けるかは見通せない状況だ」として、中国が今後もロシア寄りの立場のままでいられるかは不透明だという認識を示しました。
東部ドニプロで空爆 少なくとも1人死亡か
ウクライナ当局によりますと、ウクライナ東部の都市ドニプロで11日、空爆があり、少なくとも1人が死亡したというこです。
近くには幼稚園やアパートなどもあるということです。
ロイター通信が現地の状況として配信した動画には、がれきの中からあちこちに炎が上がり黒煙が立ちこめる中、消防隊員が消火活動にあたる様子が写っています。
EU首脳会議 ウクライナ加盟に踏み込まず
EUは10日から2日間の日程で、フランスのベルサイユで首脳会議を開いています。
初日はロシアによる軍事侵攻が続くウクライナ情勢や、ウクライナが申請したEUへの加盟について意見を交わし、終了後に声明が発表されました。
声明ではロシアに対し、直ちに無条件で停戦してウクライナから軍を撤退させるよう求めるとともに、ウクライナへの政治や財政、人道の面での支援などを続けていくとしています。
一方で、ウクライナのEUへの加盟については「今後もウクライナとの絆を強め、協力を深めていく。ウクライナは、われわれヨーロッパのファミリーの一員だ」とするにとどめ、踏み込みませんでした。
フランスのマクロン大統領は首脳会議に先立って「戦争中の国と加盟の手続きを始められるとは思わない」と記者団に述べるなど、慎重な立場の国もあり、今回の声明はEU加盟国の間で意見が分かれている現状が浮き彫りになった形です。
日本政府 116億円余の緊急人道支援を決定
日本政府は支援の必要性が高まっているとして、ウクライナと、ポーランドやハンガリーなど周辺5か国に対して総額1億ドル、日本円にして116億円余りの緊急人道支援を行うことを正式に決めました。
具体的には、UNHCR=国連難民高等弁務官事務所や、ICRC=赤十字国際委員会などを通じて、テントや毛布といった生活必需品や食料、水、医薬品を現地に届けるということです。
外務省は「国際社会と連携しながら国難に直面するウクライナの人々に寄り添った支援を実施していきたい」としています。
「ロシアとの8項目の経済協力プランは当面見合わせ」官房長官
日ロ両政府は、2016年に当時の安倍総理大臣がロシアのプーチン大統領に産業振興やエネルギー開発など8項目の経済協力プランを提案し、関係する事業を進めてきました。
これに関連し、松野官房長官は衆議院内閣委員会で「ロシアとは政治、経済、文化など幅広い分野で日ロ関係全体を発展させられるよう粘り強く平和条約交渉を進めてきたが、ウクライナ情勢を踏まえればこれまでどおりとすることはもはやできない」と指摘しました。
そのうえで「8項目の協力プランを含むロシアとの経済分野の協力に関する政府の事業は当面見合わせることを基本に、国際的な議論も踏まえてエネルギーの安定供給や人道上の配慮に留意しながら対応する」と述べました。
ロシア海軍の艦艇10隻 津軽海峡を通過
防衛省によりますと10日午前2時ごろ、北海道の襟裳岬の東北東およそ180キロの太平洋を、ロシア海軍の艦艇10隻が航行しているのを海上自衛隊の哨戒機や艦艇が確認しました。
確認されたのは駆逐艦やフリゲート艦などで、11日にかけて津軽海峡を通過し、日本海に出たということです。
ロシア海軍は先月以降、オホーツク海などで大規模な海上演習を行っていて、10隻はこの演習に参加していたとみられています。
津軽海峡は「国際海峡」のため、軍艦を含めて外国の船舶の航行が国際的に認められていますが、防衛省関係者の1人は取材に対し「これだけの数のロシア海軍の艦艇が津軽海峡を一度に通過するのは珍しく、ロシアに制裁を科すなどした日本をけん制した可能性もある」と話しています。
防衛省は、ロシア軍が日本周辺での活動を活発化させているとみて、航行の目的などを分析しています。
政府 ロシアへの一般向け半導体など57品目 18日から輸出禁止に
政府はロシアに対する追加の制裁措置について、新たに一般向けの半導体やセンサーなど57品目を対象とし、今月18日から原則、輸出禁止にすることを決めました。
経済産業省が新たにロシアへの輸出規制の対象としているのは、一般向けの半導体や通信装置、センサー、レーダー、それに暗号装置など31種類の物品と、ソフトウエアなど26の技術の合わせて57品目です。
日本は2014年のクリミア併合に対し、軍事転用可能なおよそ200の製品については、輸出管理を厳格化してきました。
今回は対象を一般向けの製品などにも広げ、人道目的の場合を除き、こうした製品の輸出を原則として禁止する厳しい措置をとることにしました。
日本としてはアメリカやヨーロッパと協調してロシアの軍需産業などに打撃を与えるねらいです。
自衛隊の防弾チョッキなどウクライナ側に引き渡し 岸防衛相
岸防衛大臣は閣議のあとの記者会見で、ロシアから軍事侵攻を受けているウクライナを支援するために送った自衛隊の防弾チョッキとヘルメットがウクライナ側に引き渡されたことを明らかにし「ウクライナの人々の命を守る一助となることを強く願っている」と述べました。
政府は今後、防寒服や非常用の食料など、ほかの支援物資も準備が整ったものから運ぶことにしています。
ロシア 北方領土でミサイル使った軍事訓練
ロシア国防省は北方領土に配備された地対空ミサイルシステム「S300」の訓練を行ったと10日、発表しました。
「S300」は半径400キロ以内に接近した戦闘機やミサイルを撃ち落とす能力をもつ対空防衛のための兵器で、訓練では空中にある数十個の目標を、すべて撃墜したとしています。
ウクライナへの軍事侵攻のさなかに北方領土で訓練を行った背景には、ロシアに制裁を科し、圧力を強めるアメリカや日本をけん制するねらいがあると見られます。
米 バイデン大統領「プーチン大統領は勝利しない」
アメリカのバイデン大統領は10日、ホワイトハウスで、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について「ヨーロッパやウクライナだけでなく世界の平和や安定にとって脅威だ」と述べました。
そのうえで「アメリカや世界の人々はウクライナを支援し続ける。ウクライナの人々が自国を守り抜くと信じている。プーチン大統領はウクライナで決して勝利しないだろう」と強調しました。
また、バイデン大統領はこのあと民主党全国委員会の会合で行った演説でロシアへの制裁などの影響で原油価格が高騰していることについて「自由のための戦いはアメリカ国内でも犠牲を払うことになるが、国民はこれがいかに重要か知っている。暴君に今、向き合わなければ、さらなる代償を払うことになると分かっている」と述べ理解を求めました。
そして「年末までに原油を増産していく。過去数年間で最大の生産量になるだろう」と述べ、価格高騰への対策として原油を増産していく方針を改めて示しました。
中国 李首相「国際社会とともに積極的役割果たしたい」
中国の李克強首相は記者会見で、ウクライナ情勢について「各国の主権や領土の一体性は尊重されるべきだ。また、各国の合理的な安全保障上の懸念も重視されるべきだ。中国はこうした考えに基づいてみずから判断し、国際社会とともに平和を取り戻すため、積極的な役割を果たしていきたい」と述べました。
そのうえで「ロシアとウクライナの双方が困難を克服し、停戦に向けた協議を進め、平和的な結果を導き出すことを支持しなければならない。急務となっているのは、緊張した情勢がエスカレートし、制御を失うことを避けることであり、これは国際社会やそれぞれの当事者の共通認識だ」と述べました。
ゼレンスキー大統領「10日だけで約4万人が避難」
ウクライナのゼレンスキー大統領は11日に公開した動画のなかで「人道回廊」と呼ばれる複数の避難ルートを使い、10日だけでおよそ4万人が避難できたと明らかにしました。
そのうえで「首都キエフや南東部のザポリージャなど複数の都市に食料や医薬品などの人道支援物資を届けることができた」などと説明しました。
一方、ロシア国防省が避難ルートを設置したとしている東部のマリウポリについては「ロシア側の攻撃が続き、完全に封鎖されている。こうした状況ではあるが、食料や水、薬を積んだトラックの一団をマリウポリに送ることにした。しかし、侵略者たちは戦車で攻撃を始めた」と述べ、ロシアを厳しく批判しました。
最新の衛星画像を分析「ロシア軍の車列が分散 再配置」
人工衛星を運用するアメリカの民間企業「マクサー・テクノロジーズ」は最新の衛星画像を公開し、首都キエフに迫っているロシア軍の部隊に変化が見られたと分析しています。
現地時間10日の午前に撮影されたという画像では、これまで首都キエフの中心部から北西に27キロほど離れたアントノフ空港沿いの幹線道路に見られたロシア軍の大規模な部隊の一部が、幹線道路から離れ、空港の北東方向にある町の中を移動する様子を捉えています。
また、別の部隊も同様に幹線道路から離れ、北東方向にある森に沿った道路上で撮影されていて「マクサー・テクノロジーズ」は「ロシア軍の車列が大きく分散し、再配置されている」と分析しています。
“核物質扱う研究所 再び砲撃受けた” SNSで発表
ウクライナの議会と原子力規制当局は、東部のハリコフにある核物質を扱う国立物理技術研究所が10日、ロシア軍から再び砲撃を受けたとSNSで発表しました。
砲撃により研究所の近くにある宿泊施設で火災が起きたとしていて、暗闇の中で炎があがる映像を投稿しています。
原子力規制当局は今月6日にも、この研究所は砲撃を受けたと発表しています。
古川法相 “ウクライナからの避難者13人受け入れ”
古川法務大臣は閣議のあとの記者会見で、今月2日に岸田総理大臣がウクライナから避難した人の日本への受け入れを表明してから9日時点で、13人が入国したと説明しました。
CIA長官「習主席や指導部は動揺している」
アメリカのCIA=中央情報局のバーンズ長官は10日、議会上院の情報特別委員会に出席し、ロシアとの関係を強化してきた中国について「習近平国家主席や指導部は動揺している」と指摘しました。
その理由として、バーンズ長官は「中国の指導部はロシア軍がひどく無能であることを露呈すると予想していたとは思えない」と述べました。
また、ロシアによる軍事侵攻のおぞましさと結び付けられ中国の評判が低下していることや、アメリカとヨーロッパが連携を強化し、ロシアに対して厳しい経済制裁を科すとともにウクライナへの軍事支援を行っていることなどを挙げました。
特にアメリカとヨーロッパの関係について「中国の指導部は、この関係にくさびを打つ方法を探していたが、プーチン大統領が見事に、その可能性を低くした」と分析しました。
一方、プーチン大統領について「ロシアが経済制裁に対応するうえで、どの程度、中国の指導部が支援できるかや、支援する用意があるかを過大評価していたのかもしれない」と述べ、プーチン大統領が中国との関係を見誤っていたのではないかという見方を示しました。
国際金融協会 “ロシアの経済成長率-15%の見通し”
世界の金融機関でつくるIIF=国際金融協会は10日、ロシアのことしの経済成長率がマイナス15%に落ち込む見通しだと発表しました。
ウクライナへの軍事侵攻で各国から大規模な経済制裁を科されているためで、従来のプラス3%の予測から大きく下方修正した形です。
ロシアでは通貨ルーブルが急落し、大手格付け会社が相次いでロシア国債の信用度を「投機的」とされる水準に引き下げていて、先行きへの警戒感が強まっています。
また、IMF=国際通貨基金は、ウクライナ情勢を受けて世界経済全体の成長率も下方修正すると発表しました。
米高官「ロシア軍はキエフ中心部から約15キロまで接近」
アメリカ国防総省の高官は10日、記者団に対し、ウクライナの首都キエフに向かっているロシア軍の部隊について中心部からおよそ15キロの位置にまで近づいたと明らかにしました。
この部隊はキエフの北西方向から進んでいて、これまで中心部からは20キロ余り離れていましたが、この一日で5キロ前進したということです。
またキエフの北東方向からもロシア軍の部隊が前進していて、およそ40キロの位置に到達したとしています。
一方、北の方向から前進していた別の部隊は引き続き北部の都市チェルニヒウでウクライナ側と戦っているということです。
この高官はロシア軍がキエフを包囲して圧力をかけようとしていると指摘する一方、ウクライナ側が激しい抵抗を続けているとして中心部に入るのにどのくらいの時間がかかるかは予測できないとしました。
また、ロシア軍はこれまでに775発以上のミサイルを発射したとしたうえで、航空機からの爆撃も増やし、人口密集地を攻撃して大きな被害を与えていると非難しました。
ディズニー ロシアでの全事業を停止と発表
アメリカの娯楽大手、ウォルト・ディズニーは10日、ロシアでのすべての事業を停止すると発表しました。
ディズニーは先月28日、ロシアでの新作映画の公開を中止することを明らかにしていますが、対象をすべての事業に拡大することを決めたとしています。
新たに停止する事業には、
▽キャラクターなどの使用許可をめぐるライセンスの供与
▽テレビ番組などコンテンツの提供
▽豪華客船の運航などが含まれるということです。
会社は事業を停止したあとも、ロシアにいる社員の雇用は維持する方針を示しています。
国連 病院への攻撃でロシア側の主張を否定
ウクライナ東部のマリウポリで産科などが入る病院が攻撃されたことに関連して、国連のデュジャリック報道官は10日の定例会見で、現地の国連スタッフへの聞き取り調査の結果「病院への無差別攻撃があり、当時、病院に女性や子どもたちがいたことを確認した」と述べ、建物には女性や子どもはいなかったとするロシア側の主張を否定しました。
ロシアのポリャンスキー国連次席大使は「病院の建物はウクライナの過激派に占拠されていて、患者はいなかった」などとこれまでの主張を繰り返しました。
プーチン大統領 撤退企業の動きけん制「希望者に譲渡が必要」
ロシアのプーチン大統領は、ウクライナへの軍事侵攻を受けてロシアからの事業撤退を決めた欧米などの外資企業に対して「希望する者に譲渡することが必要だ」と述べ、事実上、資産をロシア側のものにする考えを示し、撤退の動きをけん制しました。
チェルノブイリ原発 “情報伝達の手段すべて失われた”
IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は、さきほどウクライナ当局からチェルノブイリ原子力発電所との情報伝達の手段がすべて失われたとする報告を受けたと声明を出しました。
これまでウクライナ当局は、チェルノブイリ原発と電子メールで連絡がとれていたということです。
米「ポーランドに迎撃ミサイルを配備」
アメリカのハリス副大統領は10日、ウクライナの隣国、ポーランドでドゥダ大統領と会談し、ウクライナの支援に両国が一致して取り組む姿勢を強調しました。
また会談後の記者会見でハリス副大統領は「アメリカは、NATO=北大西洋条約機構の加盟国の領域を完全に守る用意がある」と述べ、迎撃ミサイル、「パトリオット」2基のポーランドへの配備が完了したと発表しました。
“ベラルーシの支援でチェルノブイリ原発 電源復旧” ロシア側
ロシア軍による占拠後、電源が失われていたウクライナ北部にあるチェルノブイリ原子力発電所について、ロシアのエネルギー省の次官は10日、原発と距離的に近い、隣国ベラルーシから電力の供給を受けたことを明らかにしました。これによって原発の施設は電源が復旧したとしています。
仏 マクロン大統領「停戦条件 受け入れられるものではない」
フランスのマクロン大統領は10日、ドイツのショルツ首相とともに、ロシアのプーチン大統領と電話で会談し、直ちに停戦するよう求めました。
会談後、マクロン大統領は記者団の取材に応じ「プーチン大統領が示した停戦の条件は、はっきり言って、誰にも受け入れられるものではない。問題はプーチン大統領が停戦について真剣に交渉し、何かを提案する用意があるかどうかだ。正直に言って、数時間から数日のうちに解決は見込めないと思う」と述べました。
一方で、マクロン大統領は「停戦を実現するための努力は惜しまない」として、48時間後には再びプーチン大統領と会談し、停戦に向けた働きかけを続ける考えを示しました。
ルーマニアとの国境近くの街 出国で列
ルーマニアとの国境に近いウクライナ南部の街では、国外に避難しようという人や車が列をなしているほか、ガソリンや食料品が不足するなど軍事侵攻の影響が広がっています。
ウクライナ南部のテレブレチェは、連日およそ5000人が隣国のルーマニアへと出国し、その後、ヨーロッパ各地へと避難する経由地となっています。
NHK取材班が10日午前8時すぎに訪れた際には、女性や子どもらおよそ100人が、雪が降りしきる氷点下の寒さのなか、列を作って出国の手続きを待っていました。
街ではロシアの軍事侵攻で物流が寸断されたことによる経済の混乱が広がっています。国境付近の給油所ではガソリンが売り切れとなっているほか、店内の食料品などの商品棚も半分ほどは空になっていました。
米金融大手 ゴールドマン・サックス ロシアから撤退へ
アメリカの金融大手、ゴールドマン・サックスは、10日、ロシアによるウクライナ侵攻を受けてロシアでの事業から撤退すると明らかにしました。
会社は声明で「規制に従ってロシアでのビジネスを縮小させている。顧客の支援などに力を注いでいる」としています。
現地メディアは、軍事侵攻を受けてロシアから撤退するのはアメリカの主要な金融機関で初めてだと伝えていて、ロシアでの事業を見直す企業の動きが一段と広がりを見せています。
キエフにとどまる男性「最後まで戦い続けます」
ウクライナでロシアによる軍事侵攻後、家族で首都キエフにとどまっている男性が10日、自宅マンションの屋上からNHKのインタビューに応じ、家族とともに避難生活を続ける今の心境を語りました。
キエフ中心部に住むアンドリー・アーシンさんは、妻と子どもと共にマンションの9階にある自宅にとどまり、空襲警報が鳴るとほかの住人とともに地下のシェルターに避難する生活を続けています。
シェルターには簡単ないすとテーブルのほか最低限の食料や水などが備えられていて、夜中に警報が鳴ると、机に突っ伏して睡眠を取ることもあるということです。
インタビューに応じた前の日には合わせて11回、空襲警報のサイレンが鳴り、そのたびに、9階から地下までの避難を余儀なくされているということです。
現在のところ、電気やガス、水道などのライフラインに攻撃の影響はなく、食料や薬などについては住民どうしがSNSなどを通じて連絡を取り合いながら確保しているということです。
アーシンさんは「家族とはお互いをどれだけ愛しているかできるかぎり伝えるようにしています」と述べ、妻や子どもと支え合いながら日々を過ごしていると話しました。
そして、今後については「私はこの町で生まれ、この町を愛しています。私たちはとても前向きです。たとえ食料や水がなくなって死んでも構いません。何日でも、何年でも、最後まで私は戦い続けます」と話し、今後もキエフにとどまり続ける決意を示していました。
ウクライナから国外に避難 231万人
UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシアによる軍事侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は9日時点で231万人に上っています。
このうちおよそ6割にあたる141万人余りがポーランドに避難したということです。
このほか、
▽ハンガリーに避難した人が21万人余り、
▽スロバキアが16万人余り、
▽ルーマニアとモルドバがともに8万人余りなどとなっています。
▽また、ロシアに避難した人は9万人余りとなっています。
ウクライナの死者 “少なくとも549人 41人は子ども”
国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まった先月24日から今月9日までにウクライナで少なくとも549人が死亡したと発表しました。
このうち41人は子どもだということです。
亡くなった549人のうち、
▽123人が東部のドネツク州とルガンスク州で、
▽ほかの426人は首都キエフや第2の都市ハリコフ、北部のチェルニヒウ、南部のヘルソンなど各地で確認されています。
犠牲者の多くは砲撃やミサイル、空爆などによって命を落としたということです。
また、けがをした人は957人に上っているということです。
国連人権高等弁務官事務所は、数百人の死傷者がいるとされる東部マリウポリなど、詳しい状況が確認できていないケースも多いとしていて、亡くなった人やけがをした市民は実際にはさらに多い可能性があります。