ロシアとウクライナによる14日の4回目停戦交渉は、双方が状況を見極めるため一時中断し、15日に再開する予定だ。ウクライナ側の交渉担当者、ポドリャク大統領府長官顧問が明らかにした。同氏は交渉開始の際に、停戦の可能性を探るが協議は「困難だ」と話していた。

  サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と中国の外交を統括する楊潔篪共産党政治局員が14日、ローマで会談した。米中高官の対面会談は、ロシアのウクライナ侵攻が始まってからでは初めて。米国務省のプライス報道官は米国側が中国による対ロシア支援に懸念を表明したと説明。バイデン政権は中国が自国の影響力を行使してロシアに終戦を働き掛けるよう圧力を加えている。

  米当局はロシアが中国に対し、ウクライナ侵攻で軍事物資の提供を要請したとしている。中国外務省の趙立堅報道官は14日の定例記者会見で、「米国の主張は偽情報」で「悪意がある」と述べ、この主張を否定した。  

ロシアが中国に異例の軍事支援要請、ウクライナ侵攻で-米当局者

  週末にはロシアがウクライナ空爆をポーランド国境に近い西部地域へと広げた。国連のグテレス事務総長はウクライナでの戦争で世界全体に不安定化の種がまかれる可能性があるとし、ウクライナで住居からの退避を余儀なくされた人は約500万人に上ると指摘した。

Ukrainian soldiers and firefighters search in a destroyed building after a bombing attack in Kyiv, Ukraine, Monday, March 14, 2022. (AP Photo/Vadim Ghirda)

  ウクライナ情勢を巡る最近の主な動きは以下の通り。

EU、ロシア制裁の対象に高級品や鉄鋼製品を追加へ

  欧州連合(EU)は、ウクライナ侵攻に対するロシア制裁第4弾の一環として、300ユーロ(約3万8800円)を上回る高級品のロシアへの販売禁止と、多くのロシア製鉄鋼製品の購入禁止の措置を承認する見込みだ。ブルームバーグが入手した草案で分かった。

ウクライナ大統領、戒厳令の30日間延長求める

  ウクライナのゼレンスキー大統領は議会に対し、戒厳令の30日間延長を求めた。議会のウェブサイトに布告が掲載された。

ロシア、ユーラシア経済同盟への穀物輸出を一時禁止へ-IFX

  ロシアはユーラシア経済同盟(EAEU)向けの穀物輸出を一時的に禁止する計画で、それ以外の国には既存の割当量で出荷を認める。インタファクス通信が農務省を引用して伝えた。

米国は中国の対ロ支援に懸念表明と米国務省-ローマでの会談終了

  ロシアが仕掛けたウクライナでの戦争を終わらせる上で、中国は大半の国以上に貢献できることがあるかもしれないと、米国務省のプライス報道官が述べた。

  同報道官は、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と中国の外交を統括する楊潔篪共産党政治局員によるローマでの会談が終了したことを受けて、ワシントンで記者団に話した。

米国、中国のロシア支援に懸念伝える-米中高官がローマで対面会談

ドイツ、「F35」など戦闘機購入へ

  ドイツはロシアのウクライナ侵攻への対応として軍事力を強化するため、戦闘機「ユーロファイター」15機のほか米ロッキード・マーチンの「F35」を購入する。ドイツのランブレヒト国防相が明らかにした。

  同国防相は14日、老朽化しつつある戦闘機「トルネード」を2030年までに交代することが目標だと記者会見で説明。1機が1億ドル(約118億円)以上するF35をどれだけ購入する計画なのかは明言しなかった。

ウクライナ西部の軍訓練施設攻撃、ロシアは巡航ミサイル使用

  ポーランド国境に近いウクライナ西部の軍訓練施設が13日に受けた攻撃はウクライナ上空からの空爆ではなく、ロシア領内から発射された巡航ミサイルによるものだったと、米国防当局者が14日、記者団に語った。

  この当局者によると、ロシアは戦争開始以来、ウクライナに900回以上のミサイル攻撃を実施。それでもロシア軍の大半はウクライナの抵抗などで依然として進軍が止まっているという。

ロシア、西側の制裁に従う企業の違法化を検討

  ロシア与党は米国や欧州などの制裁に従ってロシア国内での事業を停止することを犯罪とする法改正を提案した。

  与党「統一ロシア」幹部のトゥルチャク書記はウェブサイトに掲載した発表文で、法改正には西側の制裁に従う企業の最高幹部に刑事罰を科すことも含まれると説明。国営タス通信によると、上院はこの計画を支持する意向だと有力上院議員は述べたという。

ロシア侵攻で約500万人が避難-国連事務総長 

  ロシア侵攻によりウクライナ国内で避難民となっている人の数は少なくとも190万人に上ると、国連のグテレス事務総長が14日、記者団に対して語った。さらに数十万人が水道と電気のない生活を強いられていると指摘した。 

ロシア、穀物輸出を停止する計画-IFX

  ロシアは15日から6月30日まで、小麦やライ麦、大麦、とうもろこしの輸出を一時的に禁止する可能性がある。農業省の情報としてインタファクス通信が報じた。ロシアでは小麦販売の季節的なピークを過ぎているが、依然として出荷待ちの小麦が約800万トンあるとの推計を、国連食糧農業機関(FAO)が今月示していた。

ホワイトハウス、バイデン大統領の訪欧計画を協議中-関係者

  ホワイトハウスはバイデン大統領の欧州訪問を協議している。事情に詳しい複数の関係者が語った。実現すればロシアのウクライナ侵略戦争が続く中での訪欧となる。具体的な訪問地は明らかでない。

ホワイトハウス、バイデン大統領の訪欧計画を協議中-関係者

ロシアとの交渉は15日まで中断-ウクライナ交渉担当

  ロシアとの交渉を担当するウクライナのポドリャク大統領府顧問は、「テクニカルな事情により交渉を明日まで中断した」とツイッターに投稿した。追加の作業や個別の定義明確化などがあり、交渉は続いていくという。

ロシアとの交渉15日まで中断、テクニカルな理由-ウクライナ交渉担当

シティ、撤退するロシア事業の範囲を拡大

  米シティグループは、ロシアから撤退する事業について、発表済みのコンシューマーバンキング以外にも範囲を広げることを明らかにした。シティのロシアでのプレゼンスは米金融機関の中で最大。

シティ、ロシア事業撤退をコンシューマーバンキング以外にも拡大 (1)

欧州委ボレル氏が「野蛮」と非難、ロシアは民間人を標的に

  欧州委員会のボレル副委員長(外交安全保障上級代表)は、ロシアのプーチン大統領によるウクライナへの「野蛮な攻撃」を非難、ロシア軍は食料倉庫や病院、学校など民間人が使用する建物にも空爆やミサイルなどでの攻撃を加えていると指摘した。ロシア政府は民間人を標的にはしていないと主張している。

砲撃を受けたアパートから男性を救助する消防隊員ら(14日、キエフ)Source: Ukrainian State Emergency Service via AP Photo

ウクライナのゼレンスキー大統領、米議会向けに16日演説へ

  ウクライナのゼレンスキー大統領が16日に米議会向けにオンラインで演説を行うと、ペロシ米下院議長が明らかにした。

ウクライナ大統領、16日に米議会オンライン演説-ライブ配信へ (1)

EUがロシアに高級車の輸出禁止検討、評価額5万ユーロ超を対象

  欧州連合(EU)は新たな対ロシア制裁措置の一部として、評価額が5万ユーロ(約645万円)を超える高級車を対象に輸出禁止とすることを協議している。事情に詳しい外交当局者2人が明らかにした。

ウクライナ、協議は停戦が中心-ポドリャク大統領府長官顧問

  ロシアとウクライナの4回目の協議はロシア軍の即時撤退と安全保障の確約を含む停戦についてが中心になると、ウクライナ大統領府のポドリャク長官顧問が述べた。

ウクライナ駐日大使、ロシア事業継続中の日本企業に関係断ち切り説得

  ウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使は14日、ロシアで事業を継続している日本企業に連絡を取り、ロシアとの関係を断ち切るよう説得に努めていると述べた。ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで明らかにした。

  コルスンスキー氏は、戦争の影響は世界中に波及し、アジアでも感じられるだろうとし、中国の関与が鍵を握ると指摘した。その上で、ロシアのプーチン大統領との「有害な」関係でもたらされる結果について、理解するだけの十分な賢明さを中国に期待していると語った。

ロシアの暴挙で新たな国際秩序の枠組みが必要-岸田首相

   岸田文雄首相は14日の参院予算委員会で、ロシアによるウクライナ侵攻について「国連安全保障理事会の常任理事国であるロシアの暴挙は、新たな国際秩序の枠組みの必要性を示している」と述べ、安保理改革の重要性を強調した。常任理事国による拒否権の行使に関しては「最大限自制されるべきだ」と述べた。

ロシアのデフォルトでも金融危機招く可能性低い-IMF専務理事

  国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は13日、ロシアのデフォルト(債務不履行)がもはや「起こりそうもない事態」ではないと述べた上で、世界金融危機の引き金を引く可能性は低いとの認識を示した。

ロシア検察、IBMやマクドナルドなど米欧企業に警告

  ロシアの検察当局は複数の米欧企業に対し、政府への批判や同国からの撤退計画を理由に、会社関係者の逮捕や資産差し押さえの可能性を警告した。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が13日に報じた。警告を受けた企業には、ケンタッキーフライドチキン(KFC)などを展開するヤム・ブランズやマクドナルド、IBMが含まれる。

 

ロシアが中国に軍事支援を要請-米当局者

  米当局者は、ロシアが具体的にどのような装備品の提供を中国に求めたかは明らかにしなかった。ロシアの中国との武器取引は現在、購入よりも売却の方がはるかに多いが、中国は軍の現代化を急速に進めており、この数年間ではより高度な兵器を生産するようになっている。

  同当局者はバイデン政権がどのように詳細を把握したのかについて、コメントを控えた。

  中国がそのようなロシアの要請に前向きに応じるかどうかは不明だ。中国はウクライナ侵攻でロシアを非難することは避けているが、停戦と解決に向けた交渉を繰り返し呼び掛けている。ロシアが2014年にクリミアを併合した際、中国は公式には中立を維持した。

EU、アブラモビッチ氏らへの制裁を協議

  欧州連合(EU)はサッカーのイングランド・プレミアリーグの強豪チェルシーのオーナー、ロマン・アブラモビッチ氏らロシアの著名人十数人への制裁を協議している。ブルームバーグが確認した文書と事情に詳しい関係者の話で分かった。制裁リストはEU各国の承認が必要で、実施前に変更の可能性はある。

  欧州委員会のフォンデアライエン委員長が11日に貿易制限などを含むロシア制裁第4弾を予告した後、EU各国の大使らは13日に同案について協議。14日にも制裁パッケージの取りまとめを目指している。

EU、チェルシーのアブラモビッチ氏らロシア著名人への制裁協議

ロマン・アブラモビッチ氏Photographer: Ben Stansall/AFP/Getty Images

ドイツ財務相、ロシア産石油・ガス購入ボイコットに反対

  ドイツのリントナー財務相は、ロシア産の石油・天然ガスの購入ボイコットに引き続き反対する考えを示した。独紙ターゲスシュピーゲルが13日報じた。リントナー氏が党首を務める連立与党・自由民主党(FDP)の主要メンバーは、ロシア軍のウクライナ侵攻への制裁として、制限を課すべきだと主張している。

米インフレは一段と上昇へ-エラリアン氏

  アリアンツの首席経済顧問モハメド・エラリアン氏は13日、ロシアのプーチン大統領によるウクライナへの全面的な軍事侵攻による経済的影響には米国のインフレ率の一段の上昇が含まれる公算が大きいと述べた。

飛行禁止区域に関する考えに変化なし-サリバン氏

  ロシア軍はポーランド国境近くのウクライナ軍訓練施設を攻撃し、補給ラインを破壊しようとしているが、サリバン米大統領補佐官は13日、ウクライナ上空の飛行禁止区域の設定の是非に関する米国の考え方に変更はないと語った。NBCの番組「ミート・ザ・プレス」で発言した。

  サリバン氏はウクライナが必要とする武器や安全保障上の支援を提供する取り組みを強化すると述べ、軍事支援の追加支出について同盟国と協調していると付け加えた。

米国人ジャーナリスト、キエフ近郊で銃撃受け死亡

  米国人記者で映画制作者のブレント・ルノー氏が13日、ウクライナで戦争を取材中に銃撃を受けて死亡した。複数のメディアや当局者が明らかにした。ルノー氏(50)はキエフの北にあるイルピンで銃撃された。同氏と一緒にいた別のジャーナリストも負傷。2人は車で移動していたところをロシア軍に発砲されたと、キエフ警察当局がフェイスブックで明らかにした。

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ロシア、外貨準備の半分へのアクセスを失った-財務相

  ロシアのシルアノフ財務相は、同国が外貨準備のほぼ半分へのアクセスを既に失っているとした上で、西側諸国による中国への圧力強化によりプーチン大統領の戦争資金が一段のリスクにさらされるとの見解を示した。

 

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