米国と中国は14日、ロシアがウクライナに仕掛けた戦争に関して「実質的な議論」を行った。両国の高官による対面会談は、ロシアのウクライナ侵攻が始まってからでは初めてだったが、ホワイトハウスは協議の具体的な結果や合意などは発表しなかった。

  サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、中国の外交を統括する楊潔篪共産党政治局員とローマで約6時間会談。終了後のホワイトハウスの声明によると、サリバン氏は会談で、ロシアとウクライナの戦争を含む「米中関係における広範な問題」を取り上げた。両者は「米中間で開かれた連絡ラインを維持する重要性も強調した」という。

Photographer: Oliver Contreras/Sipa/Bloomberg

  楊氏は、中国がウクライナ和平協議の促進にコミットしており、中国の立ち位置を歪曲(わいきょく)したり中傷したりする不正確な情報の発信には反対すると述べた。中国中央テレビ局(CCTV)が伝えた。楊氏はウクライナの民間人を守るため全当事者に自制を促したという。

Photographer: Alex Kraus/Bloomberg

  今回の会談に先立ち、複数の米当局者は、ロシアがウクライナ侵攻開始直後に、軍事物資の提供を中国に要請したと述べていた。中国が戦争に関与する可能性をバイデン政権が懸念していることを示唆している。米政権高官は、ロシアが中国に支援要請したとされる問題についてはコメントを控え、会談は厳しいものだったと説明した。

  中国外務省の趙立堅報道官は14日、ロシアの支援要請の報道について、「偽情報」であり「悪意がある」とコメント。ロシア大統領府のペスコフ報道官は同日、ロシアは計画通りに作戦を完了するのに必要なリソースを全て有していると述べた。

  米国務省のプライス報道官は14日に記者団に対し、米国側は会談で中国による対ロシア支援への懸念を表明したと説明した。米政権高官1人が匿名で記者団へのブリーフィングで語ったところによれば、両者は北朝鮮や台湾についても話し合った。

  バイデン政権は、3週目に入った軍事侵攻を終わらせるため、ロシアへの影響力を行使するよう中国の説得を試みてきた。大統領の上級補佐官らは、米国と欧州・アジア同盟国が発動した対ロ経済制裁に沿って行動するよう中国に圧力をかけてきた。

  米政権高官は、ロシアと中国の連携について強い懸念をバイデン政権が抱いていることを認めた。

  ウクライナ侵攻の数週間前、ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席は共同声明で、中ロの友情に「限界はない」と宣言していた。

  サリバン、楊両氏による前回の会談は昨年10月にスイスで行われた。

  米当局者1人によれば、ロシアの中国への軍事支援の要請は新しいものではなく、2月24日のウクライナ侵攻開始の直後に行われたという。別の当局者は、ロシアが具体的にどのような軍事物資の提供を中国に求めたかは明らかにせず、バイデン政権が詳細をどのように把握したのかについても言及しなかった。両当局者とも内容がデリケートであることを理由に匿名を条件に語った。

  ホワイトハウスの報道官はコメントを控えた。

原題:White House Calls China Discussion on Ukraine ‘Substantial’ (2)(抜粋)