けさの新聞各紙に政府・与党が年金生活者らを対象に5000円の臨時給付金を支給する方向で検討を始めたという記事が掲載されている。物価上昇に対抗する手段を持たない年金生活者の生活支援が名目。この記事を読んだ夫と、まだ読んでいない妻、老夫婦が朝食の席で交わした会話(珍しく会話が弾む)。
(夫)政府・与党は年金生活者に臨時の給付金を支給する方向で検討を始めたらしい
(妻)あら、本当に。素晴らしいじゃない
(夫)支給額はいくらだと思う
(妻)一人当たり100万円かな
(夫)個人的な願望じゃなくて、実際いくらくれると思う?
(妻)10万円
(夫)ブー
(妻)じゃ、5万円
(夫)ブー
(妻)1万円かな
(夫)ブー
(妻)まさか5000円じゃないでしょうね
(夫)ピンポーン
(妻)えー、それだけ、×××××(妻の名誉のためにここは伏字)
ピークは過ぎたが依然としてオミクロン株がくすぶり、日本でも生活物資がじわじわと上昇している。おまけにプーチンのウクライナ侵攻で原油価格は高騰、西側諸国の経済制裁で世界経済にも黒い影が忍び寄る。加えてゼロコロナの中国で、信じられないことが起っている。感染が急拡大しているのだ。サプライチェーンどころの話ではない。悪性のスタグフレーションが襲来しかねない状況なのだ。そんな中で年金生活者の支援を名目に臨時給付金の検討がはじまったというわけだ。
さすがは政府・与党。年金生活者のこともちゃんと考えている。そう思いたいところだが、実態は猫だましの人気取り政策にすぎない。現在の年金制度には物価スライド制が組み込まれている。要するに物価や賃金の変動によって年金の支給額も自動的に増減するのだ。4月から年金支給額は前年度に比べて0.4%引き下げられる。支給額230万円(年間)で計算すると、新年度の支給額は年間で約2万3000円減少する。臨時給付金を入れても年間で1万8000円の減少だ。足元で物価はどんどん上がっている。黒田日銀総裁は預金金利の引き上げを許さない。企業は世界情勢が不透明だとして、相変わらず賃上げを抑制している。猫だましで悪い情報は遮断し、臨時給付金だけ大きく見せようとしている。夏には参院選挙がある。それが狙いか・・・。
(妻)5000円じゃ誰もすすんで自民党と公明党に票を入れないだろうね。
(夫)そうだろうなあ。もっと真っ当な政策を考えてほしいね。