プーチン大統領はロシアの侵略に対するウクライナの激しい抵抗が継続し通常の兵力と装備が枯渇していく事態となった場合、西側諸国を核兵器で威嚇しようとすると予想される。米国防総省の情報機関である国防情報局(DIA)が新たな評価でこう分析した。
DIAのベリア局長は世界の脅威に関する概要をまとめた67ページの報告書で、「ウクライナ領土の一部の占拠が長引けば、ロシアの兵力は弱まり最新の武器も減っていく事態となり得る。経済制裁はおそらくロシアを長期の経済不況と外交的孤立に追い込む」と指摘した。
ベリア局長は下院軍事委員会向けにまとめた文書で、ウクライナの抵抗と対ロ経済制裁は、ロシアが「最新鋭の精密誘導兵器を製造する能力」を脅かすだろうと説明。「この戦争とその影響がロシアの通常兵力を徐々に弱める」結果、「ロシアは西側へのシグナルおよび国内外への強さの誇示のために、核抑止力への依存を強める公算が大きい」と分析した。
プーチン大統領は既に核を含む抑止部隊の特別警戒態勢への移行を命じた。
DIAの報告書は15日時点の情報を反映している。
国防総省の高官は17日に記者団に対し、ロシアはこれまでのところ1000発余りの長距離ミサイルに頼り、戦況は膠着(こうちゃく)状態にあると指摘した。
ベリア局長は、「ロシアのウクライナにおける目標を妨害する米国の取り組みと、米国は衰えつつある国家だとの認識により、ロシアはウクライナだけではなく、より幅広く西側と予想される対決で一段と攻撃的な行動を取る可能性がある」と分析。
さらに「想定されていたより強い抵抗と戦闘の初期段階の比較的高い損失にもかかわらず、ロシアは自身に有利な条件にウクライナ政府が応じるまで、殺傷力のさらに強い兵器を使い攻撃を続ける決意のようにみえる」と指摘した。
原題:Putin Is Likely to Make Nuclear Threats If War Drags, U.S. Says(抜粋)