[リビウ(ウクライナ) 22日 ロイター] – ウクライナは22日、ロシア軍に包囲されている南東部マリウポリからの市民退避および同市への人道的物資の輸送を認めるようロシアに訴えた。
マリウポリ当局者によると、同市では食料や医薬品が不足しているほか、電力・水道も機能していない。ゼレンスキー大統領はイタリア議会でのビデオ演説でマリウポリには「何も残っていない」と述べた。
ゼレンスキー大統領の演説中に、マリウポリ市議会はロシア軍が同市に大型爆弾を2発投下したと発表。ただ、死傷者や被害の詳細は明らかにしていない。
ウクライナのベレシュチュク副首相は22日、マリウポリから退避する安全な退避ルートがなく、少なくとも10万人の市民が足止めされているとし、「われわれは市民のための人道回廊を設定することを要求する」と述べた。
さらに、ロシア軍の砲撃が先週空爆を受けたマリウポリの劇場での救助活動を妨げていると指摘した。劇場には数百人の市民が避難していたとみられている。
ベレシュチュク副首相は、人道回廊が設置され、退避に使用するバスの立ち入りが認められない限り、マリウポリの市民は比較的安全な場所まで10─12キロ歩かなければならず、停戦していない場合には危険な道のりになるとした。
また、ベレシュチュク副首相およびウクライナ政府関係者によると、ロシア軍はすでに制圧下にあるウクライナ南部ヘルソンでも市民への人道的物資の供給を妨げているという。
ウクライナ外務省のオレフ・ニコレンコ報道官はツイッターで「ヘルソンの30万人の市民はロシア軍による封鎖で人道的な大惨事に直面している。食料と医薬品がほとんど尽きているが、ロシアは市民を避難させるための人道回廊の開放を拒否している」と述べた。