[ロンドン 23日 ロイター] – ソ連崩壊後のロシアの経済改革を主導したアナトリー・チュバイス氏が、ロシア大統領特使を辞任し出国したもよう。複数の関係筋がロイターに明らかにした。ロシアのウクライナ侵攻への抗議の行動とされる。
チュバイス氏は、エリツィン大統領の時代に大統領府長官を務めた。2020年に国営テクノロジー会社ロスナノのトップを辞任し、国連などの国際機関向けのロシア大統領特使に任命された。
関係筋は匿名を条件に、チュバイス氏はウクライナ紛争を理由に出国したと述べた。ロシアに戻るつもりはないという。ロイターはチュバイス氏にコメントを求めたが、拒否された。
大統領府のペスコフ報道官は、チュバイス氏の辞任を確認した。
チュバイス氏については、ソ連崩壊後の経済危機で国民が苦しんでいた1990年代に民営化で一握りの実業者を豊かにさせたとの批判が多い。一方、市場経済の導入のほか、ソ連崩壊後の内戦勃発を防いだ功績をたたえる支持者もいる。
ここ数年、同氏は経済改革を訴え続け、ロシア政府に近いリベラル派の代表格の一人となっていた。
2010年には、ロシアにとって唯一最大の脅威がファシズムの台頭で、国を分断させる恐れがあると警告している。