ワシントン(CNN) 米国のトランプ前大統領は、29日に新たに公開されたインタビューの中でロシアのプーチン大統領に対し、バイデン米大統領の家族にとって不利になるあらゆる情報を公表するよう呼び掛けた。国内の政治にかかわる支援を米国最大の敵対国に求めるという、見境のない要求に踏み切った形だ。
トランプ氏はこれまでにも国内政治に関する外国勢力からの手助けを積極的に求め、受け入れてきた。それは現在ウクライナで血みどろの戦争を主導しているプーチン氏に対しても同様だ。
トランプ氏はジャストザニュースとのインタビューで、バイデン氏の息子のハンター氏がロシアで結んだ商取引に関する立証されていない主張を強調。プーチン氏に対し、事態について把握している可能性のあるあらゆる情報を公表するよう求めた。当該の主張に関する何らかの物的資料が存在するのかどうか、あるいはロシア政府が同資料にアクセスできるのかどうかは不明。
トランプ氏はハンター氏がロシアで結んだ可能性のある商取引に言及し、「プーチン氏はその答えを知っているだろう。」「彼はそれを公表するべきだと思う。我々は答えを知るべきだろう」との見解を示した。
バイデン大統領が副大統領だったころ、息子のハンター氏がウクライナや中国といった外国でコンサルティング業務に携わり、多額の報酬を得ていたのは事実だ。司法省は現在、これらの商取引を犯罪として捜査しており、金融犯罪に発展する可能性もある。
しかしこれまでのところ、トランプ氏の主張を裏付ける証拠は見つかっていない。トランプ氏はバイデン氏父子が汚職に関与したり、個人的な利益のために米国の政治に影響を与えたと訴えている。バイデン大統領は捜査に関係しておらず、ハンター氏も不正行為を否定。捜査が終われば疑いは晴れるだろうと述べている。
トランプ氏とその陣営は2016年の大統領選で、ロシアによる干渉を受け入れ、対立候補のヒラリー・クリントン氏に対する電子メールのハッキングといった行為を利用して選挙戦を戦った。トランプ氏の取り巻きのメンバーがロシアの工作員と選挙期間中に会い、クリントン氏に不利な活動を行うとの約束を取り付けたこともあった。
19年にはウクライナのゼレンスキー大統領に圧力をかけ、当時の大統領選の対立候補だったジョー・バイデン氏に対する根拠のない汚職疑惑についての捜査を立ち上げさせようともした。計画の一環として米国からの約4億ドルの軍事支援を凍結し、これが1回目の弾劾(だんがい)裁判につながった。 20年の大統領選でも、トランプ氏の同調者の一部がロシアのスパイと目される人物と連携し、バイデン氏とその家族にまつわる虚偽の情報を広めている。