ロシアのウクライナ侵攻の裏には、プーチンのバイデン大統領に対する個人的な“怨恨”が横たわっている。きのう、BSフジのプライムニュースを見ながらそんな気がした。テーマは「プーチン発言徹底検証 “健康不安説”の真偽 虐殺疑惑で停戦行方は」。番組の中盤ごろだったと思う。出席者の一人である東郷和彦(元外務省欧亜局長)氏が概略以下のような説明を行った。ジョージ・W・ブッシュ元大統領がプーチンを評して「あなたの目には魂がある」と言ったのだそうだ。このエピソードは外交官の間では有名だという。2011年のこと、当時オバマ政権の副大統領だったバイデン氏は、プーチンと会談した際に次のように言った。「私はあなたの目をじっと見た。あなたの目は空っぽだね」。ジョークか皮肉か、侮辱か。おそらくバイデン氏のいつもの“軽口”にすぎないような気がする。これに対してプーチンはにこりと微笑みながら、「ここで初めて相互理解ができましたね」と返したそうだ。

バイデン氏は当時、ポーランドとウクライナに配備するミサイル防衛システムを担当していて、東欧諸国を頻繁に訪れていた。ミサイル配備はイラン向けと説明されていたが、プーチン氏はこれに納得しなかった。バイデン氏はプーチンを説得するために訪ロし、当時は前大統領だったブッシュ氏の発言に引っ掛けて軽口を叩いたのだろう。だが、東郷氏に言わせると相互理解はプーチンの「決別宣言」だったという。バイデンVSプーチンの因縁の対決はこの時に既に、ジェノサイドへ向けた悲劇の幕が切って落とされていた。バイデン氏はこのあともウクライナとの濃密な関係を保っていく。これに関連して囁かれているのが長男・ハンター氏の収賄疑惑だ。最近のネット情報には、ハンター氏は化学兵器開発に関与していたとの情報まで飛び交っている。真偽はわからない。戦争の背後に黒い影があるとすれば、何も知らず虐殺されていったウクライナの庶民が哀れだ。

東郷氏の話を聞いて頭をよぎったのは、バイデン氏が早くからロシアのウクライナ侵攻を予言していたことだ。情報機関の正確な情報提供があった。加えてバイデン氏はプーチンをよく理解していたのではないか。ロシアはバイデン氏の予言通りに侵攻を開始する。その後の展開は周知の通りだが、節目節目でバインデン氏はプーチンを挑発するかのような発言をする。そして言葉はどんどんエスカレート。「この男を権力の座に留まらせてはいけない」、「人殺しの独裁者」、「戦争犯罪人」、「悪党」、最近は「虐殺者」とまで言っている。ウクライナの悲惨な状況を見ながら、感情的なバイデン氏の発言に個人的には同調してきた。だが、その裏に超大国に君臨する二人の“怨念”が絡んでいるとすれば、責任の一端は間違いなくバイデン氏にもある。飛行空域の設定拒否はプーチンを挑発し、完膚なきまでに貶めるための策略かもしれない。情報戦争の渦中にある。ここには己の貧素な脳細胞では太刀打ちできな乱気流が渦巻いている。