パキスタン下院は10日未明、カーン首相に対する不信任決議案を可決した。不信任決議で首相が失職するのはパキスタン史上初。
決議案採決直前に与党の正副議長は辞任。野党のアヤズ・サディグ議員によれば、不信任賛成が計174票と、可決に必要な172票を上回った。与党側は採決を遅らせるため米国がカーン氏の追い落としを図っているとの主張を繰り返し、幾度となく審議を中断。バイデン政権はこうした主張を否定している。
野党側は下院の任期が終わる2023年8月までパキスタンを統治する首相候補としてシャハズ・シャリフ氏を指名する見込み。同氏はナワズ・シャリフ元首相の弟。新政権は国際通貨基金(IMF)と融資に関する交渉を行う必要もある。
カーン氏(69)の失職は、対米関係やインフレが悪化している経済の運営などさまざまな問題で同氏と軍との関係が悪化していたことを強く裏付けている。パキスタン最高裁は7日、総選挙を計画していたカーン氏の不信任案採決を取りやめた議会の決定を違憲と判断した。その数時間前にはパキスタン中央銀行が自国通貨支援とインフレ抑制を狙い、2.5ポイントの緊急利上げを発表。1996年以来の上げ幅で、政策金利は12.25%に引き上げられた。
原題:Pakistan PM Khan Loses Confidence Vote, Ousted From Power (2) (抜粋)