3月の米消費者物価指数(CPI)は大幅な伸びを示しましたが、米国債利回りはむしろ低下。変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数が2カ月連続で前月から減速したことに反応しました。アトランタ連銀のボスティック総裁が2月に「特に前月比でのインフレ率の変化に注目し、今後2カ月程度に着実に低下するか見ていきたい」と話していたことが現実化した格好です。高インフレは続いていますが、国債市場は微妙な変化を感じ取ったようです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
1981年以来の大幅上昇
CPIは前年同月比で8.5%上昇と、1981年終盤以来の大幅な伸びを示した。前月比では1.2%上昇と、市場予想と一致したが、2005年以来の高い伸びとなった。ガソリンが上昇分の半分に寄与し、食品も大きく上げた。一方、コアCPIは前月比0.3%上昇、前年同月比では6.5%上昇。いずれも予想を下回った。中古車の価格が1969年以来の大幅マイナスとなったほか、この他の財分野でも伸びが減速した。連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事は金融状況の引き締まりが需要鈍化に既につながっていることを示唆していると発言した。
和平交渉の行方
ロシアのプーチン大統領はウクライナとの和平交渉が「行き詰まっている」との認識を示した。同国との衝突は「悲劇」だとしつつ、「軍事作戦」は継続すると表明した。ブチャなどウクライナ北部でロシア軍が残虐行為を行ったとの疑惑に初めて公の場で言及し、「偽情報」だと主張した。ウクライナ側の交渉チームメンバー、ポドリャク大統領府顧問は交渉が「極めて難しい」と語った。ゼレンスキー大統領は対ロシア制裁を拡大し、石油や全ての銀行を対象に含めるよう、欧州連合(EU)にいま一度呼び掛けた。
NY地下鉄で銃撃事件
米ニューヨーク市地下鉄の駅で16人が負傷する事件が発生。うち10人は銃創を負った。ホークルNY州知事は記者会見で、容疑者は「依然逃走中だ」と述べた。NY市警察によれば、列車が駅のホームに進入している時に車内にいた容疑者がガスマスクをかぶり、ガス缶を開けた。車内に煙が充満し、その後容疑者は乗客に向けて銃を乱射。容疑者は短身かつ太めの黒人の男で、建設作業員用のグリーンのベストを着用していたという。
メインはこれから
4月のバンク・オブ・アメリカ(BofA)のファンドマネジャー調査によると、景気悪化を見込む割合は過去最高。スタグフレーションの予想は2008年8月以来の高水準で、金融政策のリスクに対する指摘も記録的な多さだった。投資家の姿勢は極端な悲観に傾き、株式市場への参入の好機を探る逆張り指標であるBofAの買いシグナルが点灯した。だがBofAのストラテジストはこれに乗ずる考えはなく、年初からの株価下落は「2022年の前菜」にすぎず、メインコースとも言うべき本格的な下げはこれからやって来るとみている。
罰金
ジョンソン英首相とスナク財務相は、新型コロナウイルス対策でのロックダウン(都市封鎖)期間中に規制に違反した集まりに出席したことを巡り、警察当局から罰金処分を受けると通知された。ジョンソン氏は2020年6月19日に首相官邸の閣議室で行われた自身の誕生日パーティーに出席しており、今回の罰金はこの集まりへの参加に関連するもの。スナク氏も誕生日パーティーに出席していたことを認めている。警察当局は事実上、両氏が市民に課した厳格な新型コロナ規制を自ら違反したと判断した。
その他の注目ニュース
OPEC、ロシアのウクライナ侵攻が石油需給に打撃-見通し引き下げ
独ZEW期待指数、4月もマイナス圏-戦争によるインフレで懸念拡大
WTO、世界の貿易見通しを下方修正-戦争でデカップリングの恐れ