【ワシントン時事】ロシアのウクライナ侵攻が長期化する中、バイデン米政権は大規模な武器供与や対ロ制裁網の強化を通じ、ウクライナへの支援を続けている。だが、米国はインフレに見舞われ、政権への支持率も低迷したまま。「勝利」まで国内・国際社会の結束を保つことができるのか、バイデン大統領が指導力を問われる局面が続く。
「彼(ロシアのプーチン大統領)は決してウクライナ全土の支配に成功しない」。バイデン氏は21日、ウクライナへの追加軍事支援を表明する演説でこう強調した。武器援助継続に向け、議会に追加予算を近く要請する考えも示した。
国防総省によると、昨年1月のバイデン政権発足以降、米国による軍事支援の総額は40億ドル(約5100億円)を超えた。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によれば、ウクライナの2020年の軍事費は約59億ドル。米国の援助額はこの約3分の2に相当する。
だが、戦闘は数カ月から数年に及ぶと指摘する専門家もいる。民主主義諸国の結束を固め、制裁でロシアに対抗してきたバイデン氏だが、20カ国・地域(G20)の枠組みでは、10カ国が制裁に反対か、参加していない。外交を通じた圧力強化は壁に突き当たりつつある。
さらに、米国の物価上昇率は、ロシア侵攻に伴う原油高の影響などで40年ぶりの高水準を記録。インフレが大統領の支持率低迷の原因となっている。11月に中間選挙を控え、バイデン氏を支える民主党が苦しい戦いを強いられるという見方は根強い。
バイデン氏は3月26日、ウクライナの隣国ポーランドの首都ワルシャワで演説し、「民主主義と専制主義の戦いだ。数日や数カ月で勝利はできない」と訴えた。終わりの見えない戦争を前に、バイデン氏も難局に直面している。
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