ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる27日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

モスクワ駐在の日本大使館外交官ら8人追放へ ロシア外務省

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続くなか、ロシア外務省は27日、モスクワに駐在する日本大使館の外交官ら8人について追放する措置を決定したと発表しました。来月10日までにロシアから退去するよう求めたとしています。追放する外交官らの詳細については明らかにしていません。⇒「日本大使館外交官ら8人追放へ」詳細記事はこちら

ゼレンスキー大統領「G20首脳会議に招待された」

ウクライナのゼレンスキー大統領は27日、ツイッターを更新し「G20=主要20か国の首脳会議に招待された」と明らかにしました。

ことしのG20サミットは11月にインドネシアのバリ島で開催される予定です。投稿の中でゼレンスキー大統領は、G20の議長国を務めるインドネシアのジョコ大統領と協議したとしたうえで「G20サミットに私を招待してくれたことに感謝します」とコメントしています。インドネシア側はゼレンスキー大統領の参加についてこれまでのところ、発表していません。

ドローン世界最大手「DJI」ロシアとウクライナでの事業停止

中国南部 ※深センに本社を置くドローン世界最大手「DJI」は、ロシアとウクライナでのすべての事業を一時的に停止すると発表しました。発表では「社内で法令順守の要件を再評価していて、その期間中、ロシアとウクライナでの事業活動を停止する」としています。

DJIのドローンは、世界の民生用のシェアで7割を占めるとされていますが、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の中でウクライナ政府がロシア軍の監視に使っていたほかロシア軍も使用していると報じられていました。DJIは先に発表した声明で「われわれは軍用の製品は製造していないし、販売していない」と主張していて、今回の事業停止は、自社製品の国際的な評価が悪化することを懸念して、対応をとった可能性も出ています。

※センは土へんに「川」

ロシア「国連世界観光機関」から脱退の意向

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対する国際社会の非難が強まるなか、国連世界観光機関の事務局長は27日、ロシアが機関から脱退する意向を伝えてきたと明らかにしました。国連世界観光機関では、加盟国のフランスやポーランドなどから、ロシアの加盟資格を停止するよう求める決議案が出されていて、27日からスペインのマドリードで開かれる臨時総会で、採決が行われる予定となっていました。

国連世界観光機関は160以上の国や地域が加盟し、観光を通じた交流を進めています。

ウクライナ軍「ロシア軍 東部で複数の集落を掌握」

ウクライナ軍は27日、最新の戦況の分析をフェイスブックに投稿しました。それによりますと、ロシア軍は東部のドネツク州とルハンシク州を完全に掌握して、クリミアへとつながる陸続きのルートを確保するため、東部での武力攻撃を続け、特にドネツク方面などで激しい攻撃が行われているということです。また住宅地へのミサイル攻撃も続けているとしています。

そしてロシア軍は東部ハルキウ州のほかドネツク州やルハンシク州にある複数の集落を掌握したとしています。さらに東部の要衝マリウポリでは、ロシア軍による激しい攻撃でアゾフスターリ製鉄所にいる部隊の動きが止められているとしています。

英国防省「ウクライナ側が空域の大部分を制している」

ウクライナでの戦況を分析しているイギリス国防省は27日、「ウクライナ側が空域の大部分を制していて、ロシア側はウクライナ空軍を効果的に破壊したり、ウクライナの防空態勢を抑え込むことができていない」と指摘しています。

このため、ロシア側はウクライナの北部と西部では空域にアクセスすることが非常に限定されていて、ロシア空軍の活動は、地上部隊を支援するためにウクライナの南部と東部に集中していると分析しています。

また、ロシア側が掌握したと主張し、攻撃を止めたとする東部の要衝マリウポリについて、イギリス国防省は、ロシア軍による空爆が続いていて、その大部分が、精密な誘導ができない爆弾が投下されている可能性があり、民間の犠牲者の増加につながる恐れがあると指摘しています。

沿ドニエストル地方当局「ウクライナ側から砲撃」

ウクライナの隣国モルドバからの独立を一方的に宣言し、ロシア軍が駐留している沿ドニエストル地方のロシア寄りの地元当局が27日、「けさ、ウクライナ側から弾薬庫がある村に向かって砲撃が行われた。昨夜にはウクライナ側から飛んできた複数のドローンが目撃されている」とSNSに投稿しました。

モルドバ政府などによりますと、沿ドニエストル地方ではこれまで、2つの電波塔が破壊されたほか、軍の施設でも爆発が起きていて、モルドバ政府はロシア寄りの地元当局など、対立する勢力による自作自演の可能性を示唆し、ウクライナ政府もモルドバ政府を支持する立場を強調しています。

また、ウクライナ軍は26日「沿ドニエストル地方に駐留するロシア軍部隊が厳戒態勢に入った」という分析を示し、ロシア軍部隊が沿ドニエストル地方からウクライナ側に侵攻する可能性もあるとして警戒を強めています。

ウクライナ 少なくとも子ども217人死亡と発表

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で犠牲になる子どもが増え続けていて、ウクライナの検察当局は、27日の時点で少なくとも217人の子どもが死亡したと発表しました。また、393人がけがをしたとしています。

▼死傷した子どもが最も多いのは東部ドネツク州で129人、
次いで
▼首都があるキーウ州で114人、
▼東部ハルキウ州で93人、
▼北部チェルニヒウ州で66人などとなっています。

また、爆撃や砲撃による被害を受けた学校などの教育施設は1508にのぼり、このうち102の施設は完全に破壊されたということです。

ガスプロム ポーランドとブルガリアにガス供給停止を通告

ロシア最大の政府系ガス会社「ガスプロム」は、27日、声明を発表し、ポーランドとブルガリアに対して今月27日からガスの供給を停止すると通告したと明らかにしました。
通告は、それぞれのガス会社に対して行われ、停止する理由としてガスプロムは、天然ガスを購入する際、ロシアの通貨ルーブルでの支払いを義務づけていたものの、それが実施されなかったためだとしています。

ロシア政府は、先月末、「非友好国」と指定した欧米各国などに対し、天然ガスを購入する際ロシアの通貨ルーブルでの支払いを義務づけるとして、「拒否した場合には契約は停止される」と警告していました。
今回の軍事侵攻が始まって以降、ガスプロムが、他国に対してガスの供給を停止すると明らかにしたのはこれが初めてです。

“偽旗作戦”と指摘 モルドバ沿ドニエストル地方の爆発

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は26日、ウクライナ東部の要衝マリウポリについて「プーチン大統領は戦闘は行われていないと主張しているが、ロシア軍はアゾフスターリ製鉄所を含む市内を守るウクライナ軍への攻撃を続けている」という分析を明らかにしました。

また、ウクライナと国境を接するモルドバの沿ドニエストル地方で起きた爆発について「ロシアとその代理勢力が、攻撃を受けたかのような情報をねつ造する、いわゆる偽旗作戦による攻撃を企てた。これによってウクライナの東部2州と同様、プーチン大統領が、ロシア系住民が多く住むこの地方の独立を一方的に承認し、その求めに応じて軍隊を派遣しようとするかもしれない。こうした行動は、モルドバや隣接するルーマニアでの緊張を大幅に高めるほか、ウクライナ東部におけるロシア軍の苦戦から目をそらす安っぽい『勝利』を、プーチン大統領にもたらす可能性がある」と指摘しました。

首都キーウ ウクライナとロシアの友好象徴の銅像を撤去

ウクライナの首都キーウでは、ウクライナとロシアの友好の象徴として建てられていた銅像が26日撤去されました。
ウクライナとロシアの労働者をかたどった高さおよそ8メートルの銅像は、ソビエト時代の1982年、双方の友好の象徴としてキーウ中心部に建てられました。

ロシアによる軍事侵攻を受けて反ロシア感情が高まるなか、銅像の撤去が決まり、26日、およそ100人の市民が見守るなか撤去作業が行われました。
クレーン車を使って銅像が台座から外され地面に倒されると、集まった人たちは、歓声をあげたり写真をとったりしていました。
銅像の撤去作業に立ち会ったキーウ市のクリチコ市長はメディアの取材に対して「この像は、ウクライナとロシアの友好を象徴していたが、今となってはまったく違う意味を持つものになってしまった」と話していました。

プーチン大統領側近“米などの武器供与が戦闘長引かせている”

プーチン大統領の側近で、ロシアの安全保障政策にかかわるパトルシェフ安全保障会議書記は26日、政府系の「ロシア新聞」のインタビューで「アメリカはロシアを抑圧するためウクライナを利用している」と述べ、ロシアの弱体化をねらうアメリカなどが武器を供与することでウクライナでの戦闘を長引かせているとする政権側の持論を展開しました。

そして「欧米諸国と、その支配下にあるウクライナの政権による政策の結果は、ウクライナを崩壊させ、分裂させることにしかならない」と述べました。

パトルシェフ氏は、かつてFSB=連邦保安庁の長官を務めるなど治安機関の出身者でつくる強硬派、いわゆる「シロビキ」の代表格として知られています。プーチン大統領はことし2月に軍事侵攻を始めたとき「ウクライナの領土の占領は計画にない」と言いながら、今では東部や南部の都市を相次いで掌握し既成事実化を進めていて、パトルシェフ氏の発言は、ウクライナへの支援を強化するアメリカとの対決姿勢を強め、戦闘が長期化するおそれを示しています。

ロシア ポーランドやブルガリアに天然ガス供給停止通知

ポーランドの国営ガス会社は26日、ロシア最大の政府系ガス会社ガスプロムから、パイプラインによる天然ガスの供給を27日から完全に停止するという通知を受けたと発表しました。

供給を停止する理由は明らかにされていませんが、ロシア政府は先月末「非友好国」と指定した欧米各国などに対し天然ガスを購入する際ロシアの通貨ルーブルでの支払いを義務づけるとして、「拒否した場合には契約は停止される」と警告していました。

ポーランドは天然ガスの輸入の50%以上をロシアに依存していますが、ポーランドの気候・環境相は「こうした事態を想定しロシアへの依存を減らす措置を講じてきた。ポーランドの各家庭がガスの不足に陥ることはない」として、影響は少ないとの認識を示しています。

またブルガリアのメディアによりますとブルガリアの国営ガス会社も、同じ26日、ガスプロムから、天然ガスの供給を停止する通知を受けたとしていて、ロシア側がほかの国々に対しても同様の措置をとる可能性が出ています。

ウクライナから国外に避難 予測より多い830万人にのぼる可能性

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所は26日、ウクライナから国外に避難する人が当初の予測よりも多い、830万人にのぼる可能性があるという見通しを示しました。

UNHCRは当初、400万人と予測していましたが先月にはすでにその予測を上回っていて、25日現在で526万人が国外に逃れています。

UNHCRのマントゥー報道官は「これほどの規模とスピードでの避難民の増加は近年見たことがない」として、18億ドル余りの支援が必要となるとしています。

ゼレンスキー大統領 戦闘で親を失った子どもたちを激励

ウクライナのゼレンスキー大統領は、東部マリウポリの激しい戦闘で親を失った子どもたちを激励するため、26日、首都キーウにある子どものための病院を訪れました。

ウクライナ大統領府によりますと、子どもたちはマリウポリの戦闘で親を失い、いったんはロシア軍に連れ去られましたが、その後、ウクライナ側に保護され、キーウの病院でけがの手当てなどを受けています。

ゼレンスキー大統領は、この日が10歳の誕生日だという男の子の病室に入ると、握手をして「誕生日おめでとう」などと声をかけ、プレゼントとしてタブレット端末を手渡しました。
脚をけがしてベッドで寝たままとなっている男の子は、プレゼントを受け取り笑顔を見せていました。

また、ゼレンスキー大統領は12歳の女の子にも会い、「具合はどうですか」と尋ねると、女の子は「疲れていますが、大丈夫です」などと答え、プレゼントを受け取ると、うれしそうにはにかんだ様子を見せていました。

ゼレンスキー大統領は「子どもたちはわれわれの未来です。ウクライナのすべての子どもが家に戻れるよう、われわれは戦う」と述べ、軍事侵攻を続けるロシアに立ち向かう決意を新たにしていました。

ウクライナ南部 ヘルソン市の市長解任 住民投票実施に警戒

ウクライナ南部、ヘルソンの市長は26日、自身のフェイスブックで「きょう、ヘルソン市の新しい行政府の長だとする人物を紹介された。ロシア軍の司令官からはヘルソン市長の権限は移ると説明された」として、ロシア側から市長を強制的に解任されたことを明らかにしました。

そのうえで「私は私を市長に選んでくれた人たちとともにヘルソンにとどまっている。ヘルソンはウクライナのものだ」として、ロシアの支配には協力しないと強調しました。

ウクライナ政府などはロシアが占領を正当化するためにヘルソンで住民投票を実施する動きがあるとしていて、警戒を強めています。

米大使館の機能 ウクライナ国内に戻す

アメリカ国務省のプライス報道官は26日、記者会見で、ウクライナ情勢の悪化を受け隣国ポーランドに移していた現地のアメリカ大使館の機能について、ウクライナ国内に戻し、いったん西部リビウに設けることを明らかにしました。

すでに大使館の職員がリビウに向かったということで、今後、首都キーウでの業務が再開できるかどうか、見極めていくとしています。

米国防長官「核使用の脅し 非常に危険で何の役にも立たない」

アメリカのオースティン国防長官は、ロシアのラブロフ外相が「いま核戦争のリスクは、非常に大きくなっている」などと述べたことについて、26日、記者会見で「核の使用の可能性について脅かすようなことを言うのは非常に危険で、何の役にも立たない。核戦争に勝者はおらず、誰も見たくはない」と懸念を示しました。

また、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア軍の戦力について「地上部隊には相当な死傷者が出ている。多くの装備を失ったほか、精密誘導弾を大量に使い、主要な艦艇も失った。軍事力という点では侵攻開始当初より弱体化している」と指摘しました。

そのうえで「これらの戦力の一部は、制裁と輸出規制によって今後、補充するのが難しいとみられる。われわれは、ロシアが隣国を脅すことができなくなるようにしたい」と強調しました。

国連グテーレス事務総長がプーチン大統領と会談

国連のグテーレス事務総長は26日、ロシアによる軍事侵攻が始まってから初めてロシアの首都モスクワを訪れ、プーチン大統領と会談しました。

クレムリンの長机でグテーレス事務総長を迎えたプーチン大統領は、▽軍事侵攻がウクライナ東部のロシア系住民を保護するためだと改めて正当性を強調したうえで、▽首都キーウ近郊のブチャで多くの市民が殺害されて見つかったことについても、ロシア軍は関与しておらずウクライナ側による挑発だと主張しました。

そのうえで東部のマリウポリの製鉄所で市民が取り残されていると見られることについて「ウクライナ軍は市民を盾にしたテロリストと同じ行動をとっている。ロシア側が設けた人道回廊は機能している」と述べ、ウクライナ側を非難しました。

これに対してグテーレス事務総長は「ロシアとウクライナが問題解決のために協力することが必要だ」と訴え、市民を避難させるため双方が協議する場を設けるよう提案しました。

会談のあと国連は「市民の避難に向けて国連と赤十字国際委員会が関与することで原則的に合意した」と発表し、今後の具体的な協議は、国連の人道問題調整事務所とロシア国防省の間で行われるとしています。

グテーレス事務総長はこのあとウクライナへ移り、28日にはゼレンスキー大統領と会談する予定ですが、プーチン大統領はウクライナ側に対する強硬な姿勢を崩しておらず、国連トップによる仲介が事態の打開につながるのかなお不透明な情勢です。

ロシア軍 ウクライナ東部や南部で攻勢強める 一部地域掌握と主張

ロシア軍は、ウクライナ東部や南部で攻勢を強めていて、一部の地域を掌握したと主張して支配地域の拡大を正当化しています。

ロシア国防省は26日、ロシア空軍が東部ドネツク州のスラビャンスクで、武器庫などを破壊したほか、スラビャンスクの近郊では、地対空ミサイルシステムを破壊したとしています。

また、国防省は声明で、これまでの軍事作戦の成果として▽東部のドネツク州とルハンシク州の大部分を掌握したとしたほか、▽南部ヘルソン州の全域を掌握し、▽東部ハルキウ州、南東部ザポリージャ州、南部ミコライウ州の一部を掌握したとも主張しました。
そのうえで、「こうした地域では平和な生活が確立されている」として支配地域の拡大を正当化しました。

ロシア軍駐留の沿ドニエストル地方で複数の爆発

ウクライナの隣国モルドバからの独立を一方的に宣言し、現在ロシア軍が駐留する沿ドニエストル地方で、複数の爆発があり、モルドバ政府は警戒を強めています。

モルドバ政府などによりますと、沿ドニエストル地方では26日、2つの電波塔が破壊されたほか、軍の施設でも爆発が起きていて、ロシア寄りの地元当局は「テロ攻撃だ」と主張しているということです。

モルドバのサンドゥ大統領は26日、緊急の安全保障会議を開いたあと会見し「われわれはモルドバの平和を脅かす、いかなる挑発行為も非難する」と述べました。
そして「緊張を高める企ては、戦争を支持し地域の不安定化を図る、沿ドニエストル地方の内部の勢力によって引き起こされた」と述べ、ロシア寄りの地元当局など、モルドバ政府と対立する勢力による自作自演の可能性を示唆しました。

またウクライナ外務省は26日、声明を発表し、モルドバ政府を支持する立場を強調しました。
そのうえで「ロシアが2月に開始したウクライナに対する侵略に、モルドバの沿ドニエストル地方を引き込もうとする企てを非難する」として、地元当局に強い影響力をもつロシアをけん制しました。

一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は26日「確かに現地から入ってくるニュースは憂慮すべきものだ。状況を注意深く見守っている」と述べ、プーチン政権として状況を注視していることを明らかにしました。

沿ドニエストル地方は、1990年にモルドバから一方的に分離独立を宣言し、現在は事実上、モルドバ政府の統治が及んでおらず、ロシア軍1500人以上が駐留するなど、ロシアの強い影響下にあります。

ウクライナ ゼレンスキー大統領「爆発はロシアの企て」

ウクライナのゼレンスキー大統領は26日の記者会見で、ウクライナと国境を接するモルドバの沿ドニエストル地方で起きた爆発について、「われわれは、これがロシアの企てだということを明確に理解している。モルドバがウクライナを支持するならば、ロシアにも手段があると示すことで、モルドバに脅威を与えようとしている」とロシアを非難しました。

米主導の関係国会合 ウクライナへの軍事支援強化を確認

ロシアによる侵攻が続くウクライナへの軍事支援をめぐりアメリカが主導した関係国の会合がドイツで開かれ、アメリカのオースティン国防長官は各国が支援を強化することを確認したと強調しました。

ドイツ西部にあるアメリカ軍の基地で26日開かれた会合には、NATO=北大西洋条約機構の加盟国など40か国以上の関係者がオンラインも含めて参加しました。

会合後、アメリカのオースティン国防長官が記者会見し、ドイツが自走式の対空砲をウクライナへ提供すると明らかにするなど、各国が相次いで新たな兵器の供与を打ちだしたことを歓迎するとしたうえで、「われわれにはむだにしている時間はない」と述べました。

そのうえで「きょうすべてのリーダーはロシアの侵略と残虐行為と戦うウクライナを支援することをさらに決意したと思う」と述べ、会合を通じて各国が支援を強化することを確認したと強調しました。

これまでにアメリカやヨーロッパ諸国など30か国以上からのウクライナへの軍事支援は総額で50億ドル、日本円にして6300億円余りに上るということで今後も会合を定期的に開催し、関係国で軍事支援を調整していくということです。

欧米側はウクライナ東部での大規模な攻防戦を見据え、アメリカが大口径の砲弾を大量に撃ち込むりゅう弾砲を供与するなど、ウクライナ側が求める攻撃力の高い兵器の供与を始めていますが、ロシア側はこれに強く反発しています。

ロシア モルグロフ外務次官 日米をけん制

ロシアのモルグロフ外務次官は26日、国営のロシア通信のインタビューで、ロシアの国境付近で日本の海上自衛隊とアメリカ海軍が行っている演習が地域の緊張を高めるとしたうえで「わが国の安全保障に対する脅威と受け止める」と述べました。

今月、日本海で行われた、海上自衛隊と、アメリカ軍の原子力空母「エイブラハム・リンカーン」を中心とする空母打撃群による共同訓練などを念頭に置いているとみられます。

モルグロフ次官は「外交ルートを通じて日本政府に警告している。こうした行為が増えれば、ロシアが防衛力強化のため対抗措置をとることを、覚悟する必要がある」と述べ、日本やアメリカをけん制しました。

ロシアは、ウクライナへの軍事侵攻を受け欧米と足並みをそろえて制裁を科す日本を非友好国に指定し、平和条約交渉の中断を一方的に表明するなど、日本への圧力を強めています。

ウクライナから国外に避難した人 526万人余り

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、25日の時点で526万人余りとなっています。

主な避難先は、▽ポーランドがおよそ292万人、▽ルーマニアがおよそ78万人、▽ハンガリーがおよそ49万人、▽モルドバがおよそ43万人などとなっています。

また、▽ロシアに避難した人は、およそ61万人となっています。

国連人権高等弁務官事務所 少なくとも2729人の市民が死亡

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から今月25日までに、ウクライナで少なくとも2729人の市民が死亡したと発表しました。

このうち201人は子どもだとしています。

地域別でみると、▽東部のドネツク州とルハンシク州で1268人、▽それ以外のキーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで、1461人の死亡が確認されているということです。

また、けがをした市民は3111人にのぼるとしています。

しかし、東部のマリウポリなど激しい攻撃を受けている地域での死傷者の数について、国連人権高等弁務官事務所は▽集計が遅れていたり、▽確認がまだ取れていなかったりして統計には反映されていないとして、実際の死傷者の数はこれを大きく上回るとの見方を示しています。