[1日 ロイター] – 5月はトランプ前米大統領にとって、大統領退任後の政治的影響力が試される重要な月になる。11月の中間選挙に向け、トランプ氏が支持する候補者が共和党の予備選挙に臨んでいるためだ。
オハイオ州、ペンシルベニア州、ノースカロライナ州では上院議員選の共和党候補者指名の獲得に向けて、トランプ氏支持候補者は活発で十分な資金を持つライバルに直面している。同氏はジョージア州の現職共和党知事に対する挑戦者も支援。この知事は、2020年の大統領選挙の敗北は不正行為の結果とするトランプ氏の主張に異議を唱え、同氏の怒りを買った経緯がある。
これらの候補者はトランプ氏が今年支持した連邦・州・地方選挙の150人以上の候補者の中で、最も注目度が高い。結果次第では24年の大統領選出馬をちらつかせる同氏の党支配が弱まる兆しとなる可能性もある。
共和党のストラテジスト、マイク・デュハイム氏は「彼にとって自身が共和党のキングメーカーであるという認識、そしておそらく現実を維持することが重要だ」とする一方、「トランプ氏の支持は依然として強力だが、難攻不落ではない」とも述べた。
ただ、指名を勝ち取っても11月8日の中間選挙での成功は保証されず、失策によって民主党が上院のわずかな過半数を維持する可能性もある。
世論調査によると、トランプ氏が支持した上院議員候補のうち、少なくとも1人、オハイオ州のJ・D・バンス氏は3日の予備選挙に向けてリード。しかし、ペンシルベニア州の医師メフメト・オズ氏は17日の予備選を前にライバルに差をつけられ、前上院議員のデービッド・パーデュー氏も24日の指名争いを前にジョージア州知事のブライアン・ケンプ氏に遅れをとっている。
トランプ氏が支持する候補者の結果が振るわなくても、コア層からの支持は減らないかもしれない。ロイター/イプソスの先週の世論調査では、共和党員の83%が前大統領を好意的に見ており、40%が彼を党を最もよく代表するリーダーだと答え、24年の大統領選指名候補のライバルとなりそうなフロリダ州のデサンティス知事の25%を大きく引き離した。
フロリダに拠点を置き、トランプ氏とつながりのあるロビー会社バラード・パートナーズのジャスティン・セイフィー氏は「彼の権力基盤は、全米の何千万人もの不満を抱えた有権者だ」と指摘。「彼の支持する候補者がどうなろうと、彼が24年の共和党指名候補の筆頭であることに変わりはないだろう」と語った。
トランプ氏の広報担当者はコメント要請に応じなかった。
<トランプ派候補>
トランプ氏は4月15日、自身を痛烈に批判してきたベンチャーキャピタリストで作家のバンス氏を支持し、オハイオ州の共和党員を驚かせた。40人以上の共和党関係者は、トランプ氏を批判した経歴が民主党の対立候補による攻撃材料になるとして、バンス氏を支持しないようトランプ氏に書簡で求めていた。
トランプ氏の支持を受け、フォックス・ニュースが行った世論調査では、バンス氏が前回から支持率が12ポイント上昇し、予備選有権者の23%の支持を得たのに対し、対立候補のジョシュ・マンデル氏は2ポイント減の18%。しかし、25%の有権者が「未定」と答えている。
ペンシルベニア州では、4月9日にトランプ氏がオズ氏を支持したことでも世論調査はほとんど変わらず、最新の調査では元ヘッジファンド最高経営責任者(CEO)のデービッド・マコーミック氏と拮抗している。
先週発表されたモンマス大学の世論調査では、ペンシルバニア州の共和党員の61%がマコーミック氏に投票する可能性が「非常に高い」と答えたのに対し、オズ氏は51%だった。
ノースカロライナ州では、トランプ氏が支持するテッド・バッド氏がライバルのパット・マクロリー元知事をリードしているが、混戦のため7月の決戦に持ち込まれる可能性がある。
ジョージア州では、地元紙が最近発表した世論調査によると、パーデュー氏はケンプ氏に20ポイントほど遅れをとっている。
反トランプ派の共和党員ジェフ・ダンカン副知事は「他の地域が何を目にすることになるのか、ジョージア州はその試験場になるだろう。ページをめくる時だ」と語る。
トランプ氏のパーデュー氏への信頼も揺らいでいるようだ。3月に行われたジョージア州の集会で、トランプ氏はパーデュー氏に向かってこう言い放った。
「デービッド(・パーデュー氏)、知事になれることを期待している。さもなければ、今夜はとんでもなく時間を無駄にしたことになる」。
(Alexandra Ulmer記者、Jarrett Renshaw記者)