ロシア産石油の輸入を禁止する欧州連合(EU)の提案についてEU首脳とハンガリーのオルバン首相が電話会議を予定していたが、延期された。この制裁案にハンガリーは抵抗を続けている。オルバン首相はフランスのマクロン大統領とエネルギー問題を協議した。
EUはウクライナ向けに6億ユーロ(約820億円)の支援実施を承認。最終的に数千億ユーロに上る可能性のあるウクライナの長期的な復興の財源を確保するため、EUは共同債の発行を検討している。戦争が長引く中で、ウクライナ経済は今年およそ3分の1縮小する見通しだ。
ドイツとオランダの外相がキーウ(キエフ)を訪問。ウクライナ軍はルガンスク州の戦略上の要衝から撤退した。フィンランド議会の主要委員会は北大西洋条約機構(NATO)加盟を支持した。
バイデン米大統領は9日、ロシアのプーチン大統領には現時点でウクライナでの戦争から「出口がない」ことを懸念していると語った。バイデン氏はこの日、ウクライナに対する武器や物資の供給を容易にすることを狙った「レンドリース(武器貸与)法案」に署名した。
ウクライナ情勢を巡る最近の主な動きは以下の通り。
フィンランド議会委員会、NATO加盟を勧告
フィンランドは全国民の安全を確保する最善の方法としてNATOに加盟するべきだと、議会国防委員会が勧告した。同国は数日以内に加盟申請について決定する構え。
EU、6億ユーロのウクライナ支援実施を承認
EUはウクライナの差し迫った財政需要を満たすため6億ユーロの支援を実施することを承認した。匿名を要請したEU当局者が明らかにした。資金はEUがこれまでに打ち出していた総額12億ユーロに上る緊急支援パッケージの一部。当局者によると、欧州委員会は11日に手続きを完了し、数日以内に送金する可能性がある。
ウクライナ軍、ルガンスク州ポパスナから撤退
ウクライナ東部ルガンスク州のガイダイ知事は、州内のポパスナから同国軍が撤退し、より守りの堅い陣地に移動していると、フェイスブックで発表した。
ポパスナはルガンスク州とドネツク州の州境付近に位置し、戦略的に重要な高地にある。同市を巡って過去2カ月の間、攻防が続いていた。
ドイツとオランダの外相、キーウ訪問
ドイツのベーアボック外相とオランダのフクストラ外相が10日、キーウ入りした。ベーアボック氏はロシア軍の残虐行為があったとされるキーウ郊外のブチャを訪問。フクストラ氏は近隣のイルピンで破壊された家屋などを目の当たりにし、「こうした行為を罰さずに済ますことはできない」とツイートした。
仏大統領、ハンガリー首相とエネルギー問題協議
ハンガリーのオルバン首相は10日、輪番制のEU議長国を務めるフランスのマクロン大統領とエネルギー安全保障を協議したと、同首相の側近が明らかにした。ロシア産石油に制裁を科すEU案を巡り、外交交渉が続いている。
EUの報道官によると、前日発表されたオルバン首相とフォンデアライエン欧州委員長の電話協議は中止となった。中止の理由に関して今のところ説明はない。
マツダがロシア工場停止、日本勢は全て生産停止-日経
マツダはロシアのウラジオストクに構える合弁工場での生産を4月下旬までに停止したと、日本経済新聞が報じた。日本から部品輸出を停止し、部品の残りがなくなったため生産を止めたという。これでロシアに生産拠点をもつ日系自動車メーカーの全てが同国で生産活動を停止したことになる。
ウクライナ経済、戦争終結でも今年30%のマイナス成長に
ウクライナ経済は、侵攻したロシアとの戦争が年内に終わるというシナリオが実現しても、30%のマイナス成長になると欧州復興開発銀行(EBRD)が予測した。3月時点の20%のマイナス成長見通しを下方修正した。
ウクライナ経済、戦争終結でも今年30%のマイナス成長に-欧州開銀
EUが共同債の発行検討、長期復興財源確保で
欧州連合(EU)は最終的に数千億ユーロに上る可能性のあるウクライナの長期復興財源を確保するため、共同債の発行を検討している。計画に詳しいEU当局者1人が明らかにした。
EUが共同債の発行検討、ウクライナの長期復興財源確保で-当局者
NY原油、一時102ドル割り込む-EUの対ロ制裁強化に見送り観測
ニューヨーク原油先物相場は、アジア時間10日の時間外取引で続落し、1バレル=102ドルを割り込んだ。欧州連合(EU)の対ロシア制裁第6弾で、EU船舶によるロシア産原油の第3国への輸送禁止が見送られる見通しと伝えられ、相場の押し下げ要因となった。
NY原油、一時101ドル台に続落-EUの対ロ制裁強化に一部見送り観測
日本政府、資産凍結対象にロシアなど関係者141人追加
日本政府は10日、資産凍結等措置対象にロシアなどの関係者141人を追加するほか、ロシア特定団体71団体への輸出禁止措置を17日から実施すると発表した。
バイデン大統領、プーチン氏は「極めて抜け目ない男」
バイデン大統領はワシントン近郊で開かれた米民主党全国大会の資金調達イベントでロシアのプーチン大統領について、ウクライナでの戦争によって北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合を分断できると考えているとした上で、「極めて抜け目ない男」だと指摘した。
バイデン氏はその上で、「私が今懸念しているのは、彼には現時点で出口がないということだ。この件でわれわれが何をするかについて私は考えている」と語った。
ロシア産石油禁輸巡るEU協議、「ある程度の進展」-ハンガリー外相
ロシア産石油の輸入禁止に関する制裁案について、ハンガリーのオルバン首相とフォンデアライエン欧州委員長の間で行われた協議では「ある程度の進展」があったと、ハンガリー外務貿易相が明らかにした。ただ同国のエネルギー安全保障を巡る懸念を緩和するにはさらなる交渉が必要だとした。
オルバン首相は9日夜、ブダペストの首相府でフォンデアライエン委員長とのワーキングディナーを開いた。同首相はロシア産エネルギーへの依存を理由にEUの制裁案を阻止している。
米民主党、約400億ドル規模のウクライナ支援案を検討
米民主党は400億ドル近い規模のウクライナ支援パッケージ案を策定しており、新型コロナウイルス関連予算案を含めずに週内に採決する計画だ。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。
関係者1人によると、バイデン大統領は議員に対し、ウクライナ支援が滞る事態を回避するため、コロナ関連の部分を切り離すよう求めたという。下院はウクライナ支援パッケージ案を10日にも採決する可能性がある。
バイデン大統領、武器貸与法に署名-ウクライナ支援強化へ
バイデン大統領は9日、ロシアによる侵攻が続くウクライナに対する武器や物資の供給を容易にすることを狙った「レンドリース(武器貸与)法案」に署名した。
大統領は2月に始まったロシアのウクライナ侵攻で、「ウクライナ人の命が連日失われている」と述べ、武器貸与法の成立はウクライナ政府を支援する新たな手段だと語った。
米、供与公約した榴弾砲の大部分が既にウクライナに到着
米国防当局者は記者団に対し、米国がウクライナに供与すると公約した榴弾(りゅうだん)砲90門のうち少なくとも86門は同国に到着しており、ウクライナ軍兵士約310人が使用訓練を終えたと明らかにした。火砲弾薬18万4000発の約60%も既に届けられたと説明した。
原題:Ukraine Latest: EU Postpones Call With Orban Over Oil Sanctions、
Ukraine Latest: Biden Worries Putin ‘Doesn’t Have a Way Out’(抜粋)