[ワシントン 24日 ロイター] – 米連邦最高裁は24日、人工妊娠中絶を憲法上の権利と認める1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆す判断を下した。これによって、各州が中絶を制限する州法を施行することが可能となり、現時点で少なくとも26州が中絶の禁止に動くとみられている。
今回の判断は、妊娠15週以降の中絶を原則禁じるミシシッピ州法の合憲性を巡るもので、保守派判事6人が合憲と判断、リベラル派判事3人が反対した。ロー対ウェイド判決を覆す判断については、保守派判事5人が支持。リベラル派判事3人が反対したほか、ミシシッピ州法を支持したロバーツ最高裁長官は、ロー対ウェイド判決を覆す判断は示さなかった。
ロー対ウェイド判決は胎児が子宮外で育成可能になる妊娠24─28週間までの中絶を認める内容。保守派のアリート判事は判決文草案で「憲法は中絶の権利を明記しておらず、いかなる憲法の条項によっても黙示的に保障されていない」とし、73年の判断は間違っていたという見解を示した。
リベラル派のブライヤー、ソトマイヨール、ケーガンの3判事は反対意見を共同執筆し、「今回の判断の結果は明らかだ。女性の権利および自由で平等な市民としての地位を縮小させる」という認識を示した。
バイデン氏、米国にとり「悲しい日」 最高裁の中絶判断受け<ロイター日本語版>2022年6月25日5:21 午前
[ワシントン 24日 ロイター] – バイデン米大統領は24日、連邦最高裁が人工妊娠中絶を憲法上の権利と認めないという判断を示したことを受け、米国の女性が自身の運命を決めることを否定する「米国にとって悲しい日」という認識を示した。
最高裁は人工妊娠中絶を憲法上の権利と認める1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆す判断を下した。これによって、少なくとも26州が中絶の禁止に動くとみられている。
バイデン大統領は演説で、最高裁の判断は「非情」な決定で、米国を150年前の状況に押し戻し、「米国女性の健康と生命は危険にさらされる」という認識を示した。
同時に、大統領令によって女性の生殖に関する権利を守ることは限られているとし、中絶の権利を復活させる法案を可決するよう議会に要請した。
さらに有権者に対しては、11月の中間選挙で中絶の権利を擁護する議員や州の指導者を選出するよう呼びかけ、「ロー対ウェイド判決、そして個人の自由が投票にかけられる」と述べた。
▽従業員の中絶に絡む交通費を負担へ、米企業が相次いで表明<ロイター日本語版>2022年6月25日6:52 午前