ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる26日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
米独首脳会談 「ロシアへ圧力強化 G7一致して対応が重要」
G7サミット=主要7か国首脳会議を前に、アメリカのバイデン大統領と、議長国ドイツのショルツ首相が会談し、ウクライナへの侵攻を続けるロシアへの圧力を強化するため、G7が一致して対応することが重要だという認識を確認しました。
アメリカのバイデン大統領と、ドイツのショルツ首相は26日、G7サミットが開かれるドイツ南部エルマウのホテルで会談しました。
会談の冒頭、バイデン大統領は「われわれは結束しなければならない。プーチンはNATO=北大西洋条約機構を分裂させることができると考えたが、そうはならなかった」と述べました。
また、ドイツのショルツ首相も「われわれはプーチンが予想もしなかった団結のメッセージを打ち出してきた」と述べ、両首脳は、ウクライナへの侵攻を続けるロシアへの圧力を強化するため、G7が一致して対応することが重要だという認識を確認しました。
両首脳は、サミットを前に、ロシアへの制裁の強化や侵攻を受けるウクライナへの兵器の供与のあり方など具体的な支援をめぐって協議したものとみられます。
米高官 ロシア産の金 輸入禁止へ
アメリカのバイデン政権の高官は26日、記者団に対し、G7=主要7か国の首脳がロシア産の金の輸入禁止を28日に発表すると明らかにしました。
その上で「金は、ロシアにとってエネルギーに次ぐ2番目に大きな輸出品で、プーチン大統領とロシアの大きな収入源となっている。金の市場から締め出すことで、ロシアを世界経済からさらに孤立させる」と述べ、その意義を強調しました。
USGS=アメリカの地質調査所によりますと去年、ロシアの金の産出量は300トンで、中国とオーストラリアに次いで世界3位でした。
キーウ中心部に近い地区にミサイル攻撃 1人死亡4人がけが
ウクライナの検察当局によりますと26日朝、首都キーウ中心部の9階建ての集合住宅などがロシア軍のミサイル攻撃を受け、1人が死亡し、女性と子どもを含む4人がけがをしました。
現地の映像では、集合住宅とみられる建物から煙が上がり、窓ガラスが割れ、がれきが散乱している様子が確認できます。
さらに現地の消防が、がれきの下に取り残されている人がいないか捜索したり、はしご車を使って建物の上層階に放水したりしていました。
キーウのクリチコ市長は、現場近くで取材に応じ、この攻撃による被害状況を確認しているとした上で「いまも、がれきの下に取り残されている人がいる。早く救出できるよう最善を尽くしたい」と述べました。
ルハンシク州知事「リシチャンシク空爆されている」
ルハンシク州のハイダイ知事は26日、ロシア軍が掌握したと発表したセベロドネツクと川を挟んで隣接するリシチャンシクについて「リシチャンシクは空爆されている。敵の軍はセベロドネツクを占領したあと、ルハンシク州の最後のとりでとなっているリシチャンシクを占領するため全力を注いでいる」とSNSに投稿しました。
セベロドネツク市長「ロシア側 司令官を任命」
ロシア側が掌握したとしているウクライナ東部セベロドネツクのストリュク市長は25日、ウクライナメディアの取材に「ロシア側は司令官を任命した」と述べました。具体的なことは明らかになっていませんが、ウクライナ軍が街から撤退した中で、ロシアとしてはセベロドネツクを支配したとアピールするねらいがあるとみられます。
ウクライナ総司令官「ハイマース 標的に命中」
ウクライナ軍のザルジニー総司令官は25日、自身のSNSで、アメリカから供与された高機動ロケット砲システム=ハイマースが実戦に配備され、領土内に侵入した標的に攻撃が命中したと投稿しました。
また、ハイマースを使用したと見られる映像も公開し、夜間に地上から発射されたロケット弾と見られるものが、飛行していく様子が確認できます。
ハイマースは、これまでの兵器と比べて精密な攻撃が可能とされ、ウクライナとしては、欧米から供与された兵器を活用することで、ロシア軍に対して攻勢をかけたい構えです。
ゼレンスキー大統領「すべての都市を取り戻す」
ウクライナのゼレンスキー大統領は25日に新たな動画を公開し、セベロドネツクを含む東部ルハンシク州やドネツク州について「すべての都市を取り戻す」と述べ、ロシア軍に掌握されたとする都市の奪還に向けて全力を尽くす姿勢を示しました。
北部や南部、西部など広い範囲に半日で45発のミサイル攻撃を受けたとしたうえで「これはインフラの破壊だけでなく、国民の感情への計算された圧力でもある」などとして、ウクライナ国民の士気をくじくねらいもあるという見方を示しました。
また、こうしたウクライナへのミサイル攻撃はロシアへの制裁が十分でないことを証明しているとしたうえで「私たちのパートナーが持っている防空システムは訓練場や倉庫にあるべきものではなく、今必要としているウクライナにあるべきものだ」と述べ、より多くの武器を供与するよう改めて支援を訴えました。
ウクライナ情報機関トップ「戦術的な優位確保のため撤退」
ウクライナ国防省の情報機関、情報総局トップのブダノフ局長は、セベロドネツクの戦況について25日、ロイター通信に対し「現状では戦線を維持するのは不可能だ。軍は高台に撤退し、そこで防衛作戦を継続する。これは戦術的な優位を確保するための撤退だ」と述べ、セベロドネツクと川を挟んで隣接するリシチャンシクで部隊を再編成していることを明らかにしました。
また、ロシア軍について、非戦闘員を含めて軍全体のおよそ3分の1にあたる33万人が関与していることやウクライナ東部で兵力を補充するために予備役の部隊をひそかに動員しているなどと分析しています。
そして、ロシア軍の攻勢が衰えるのを待つ意味はないとして、軍事力によってのみロシアに勝つことができるとする考えを示しました。
ロシアとベラルーシが首脳会談
ロシアのプーチン大統領は25日、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクに同盟関係にあるベラルーシのルカシェンコ大統領を招き、直接会談しました。
冒頭でプーチン大統領は「今後、数か月以内に短距離弾道ミサイル『イスカンデルM』をベラルーシに供与していく」と述べ、すでに合意している核弾頭の搭載も可能なミサイルの配備を急ぐ考えを示しました。
ロシアは本土と飛び地のカリーニングラードを結ぶ鉄道貨物輸送が隣国のリトアニアによって制限されたことに反発を強め、プーチン大統領としてはヨーロッパに近いベラルーシへのミサイル配備によって欧米各国をけん制するねらいがあるとみられます。
またプーチン大統領は「われわれは世界最大の肥料の輸出国だ。世界の需要を満たすために、話し合おう」と述べ、ベラルーシと協力して肥料などを輸出し欧米の制裁に対抗する姿勢を示しました。
東部 セベロドネツク市長「われわれの軍はほぼ街を去った」
ウクライナ東部ルハンシク州のセベロドネツクのストリュク市長は25日、ウクライナのテレビ番組で「残念ながら、われわれの軍はほぼ街を去った。しかしこれで兵士の命を守ることができる」と述べ、ウクライナ軍の部隊のほとんどは25日までにセベロドネツクから撤収したとみられます。
また、市長は多数の市民が避難した「アゾト化学工場」について「何らかの理由で避難しなかった人がまだ残っている。建物が頑丈なので、戦闘が終わるまで避難していられると思ったのだろう」と述べました。
そして「撤収したことでロシア軍はウクライナ軍を包囲することができなかった。リシチャンシクは地理的に守られている」と述べ、川を挟んでセベロドネツクに隣接し高台に位置するリシチャンシクを拠点として、今後もロシア軍への抵抗を続ける姿勢を示しました。