[東京 28日 ロイター] – 東芝は28日、綿引万里子社外取締役が辞任したと発表した。同氏はこの日の定時株主総会で再任されたものの、会社が提案した「物言う株主」出身2人の社外取締役選任案に反対を表明していた。

東芝によると、綿引氏から「取締役会が一体となって進むため」として辞任の申し出があり、これを受理した。

綿引氏は東芝が株主総会に諮った取締役候補案13人のうち、主要株主である米ファラロン・キャピタル・マネジメントの今井英次郎氏と米エリオット・マネジメントのナビール・バンジー氏の選任に反対。6日に会社が公表した総会招集通知にその事実が注記される異例の事態に発展した。

この日の総会に出席した株主からも、主要株主出身者が取締役に就くことについて独立性を疑問視する意見や利益相反を指摘する声が出た。指名委員会委員長のレイモンド・ゼイジ取締役は、複数の法律事務所が独立性やリスクを検討したと説明。「候補者と合意書を締結しており、東芝に対する独立は担保されている」と語った。

綿引氏は総会の場でも反対する理由を改めて説明し、「(合意書について)日本の法律家として多くの株主に善管注意義務を果たすことができないのではないかと考えた」と述べた。

株主総会は取締役候補13人全員を承認。東芝はその後に取締役会を開き、新たな役員体制を決定した。経営再建に向けた戦略案の選定に関わる特別委員会の委員長にジェリー・ブラック氏を再任した。今井、バンジー両氏は同委員会の委員に就く。

指名委員会の委員長はレイモンド・ゼイジ社外取締役が続投する。取締役会議長には渡辺章博氏を選任した。