[プノンペン 5日 ロイター] – カンボジアの首都プノンペンで5日に開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)と日米中ロの外相会議は、ミャンマーを巡る取り組みについて焦点が当てられれると期待されていたが、台湾を巡る緊張が波及し米中の対立が鮮明となった。

会議で新たな合意の発表はなく、閉会宣言は6日に先延ばしされたまま終了した。

ブリンケン米国務長官は5日、中国軍が台湾周辺での演習でミサイルを発射したことは地域の安定を損ねて緊張をエスカレートさせる深刻かつ不当な行動だとし、米国は中国側に危機を望んでいないと繰り返し表明していると指摘。「このような極端で安定を損ねるエスカレートさせる軍事的対抗措置は正当化できない」とし、「いまや中国は危険な行動を新たなレベルに移行させた」と指摘した。

ASEANも4日、台湾海峡を巡る緊張がもたらす情勢不安定化が「主要国間の誤算や深刻な対立、あからさまな紛争、予測不可能な結果」を引き起こす可能性があるとの見方を示した。

これに対し、中国の王毅外相は4日に予定されていたASEAN外相会議の夕食会開始前に退席。主要7カ国(G7)外相が中国に台湾海峡を巡る緊張を平和的に解決するよう呼びかける声明を発表したことを受け、王外相は4日に予定されていた日本の林芳正外相との会談も見送った。

さらに王外相とロシアのラブロフ外相は5日の全体会議で林外相が発言している途中で退席した。

王外相は5日、米国に対し、より大きな危機を引き起こすような軽率な行動を取らないよう警告。別の米下院議長による台湾訪問を認めるという過ちを再び犯す権利は米国にはないと述べた。

さらにペロシ米下院議長の台湾訪問を「軽蔑に値する茶番」とし、それに対する中国の軍事的対応は「断固として、力強く、適切」だと強調した。

林外相は5日、日本は中国との対話に前向きであり、関係が緊張しているときほどコミュニケーションを維持することが重要と述べた。

ASEAN外相は5日の会議で共同声明を出し、ミャンマー軍事政権について、暴力の即時停止などASEANが昨年決めた5項目の和平合意を限定的にしか履行していないことに「深い遺憾」の意を表明。ただ、5日の共同声明で台湾への言及はなかった。