ウクライナに侵攻したロシアが占拠しているウクライナ南部ザポロジエ原発の調査を開始した国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は1日、同原発を離れた後に記者会見し、「見たかった重要なものを見て、説明を聞くことができた」と述べた。同氏はIAEA調査団の一部が追加の情報収集のため引き続き原発に残ることも明らかにした。ロシアや欧米メディアが伝えた。
グロッシ氏は同日、ツイッターに投稿した動画で「最も重要なのは、私たちがここにとどまり続けることだ」と述べた。ウクライナ国営原子力企業エネルゴアトムによると、同原発には5人の調査団員が残り、3日まで滞在する見通し。
ウクライナのゼレンスキー大統領は1日、「ロシアは(欧米などの)メディアが調査団に同行して原発に入ることを認めず、原発の周辺住民らを脅して調査団に虚偽の証言をさせようとした」と非難。それでもIAEAが客観的な調査を完了し、原発からの露軍の撤収やウクライナ側による原発管理の回復を実現させることが重要だと指摘した。
同原発を巡っては、ロシアとウクライナの双方が相手側による攻撃を非難してきた。ただ、IAEAは今回の調査の目的を、同原発の損傷状況の確認と事故防止システムの点検、作業員の労働環境の評価だとしており、攻撃者の特定は行わない方針を示唆している。
一方、東部の戦況を巡り、ウクライナ軍参謀本部は1日、ドネツク州の複数方面で前進を図った露軍を全て撃退したと発表した。