西側設定の上限価格での石油販売、ロシアに有利=財務長官<ロイター日本語版>2022年9月3日3:56 午前
[ワシントン 2日 ロイター] – イエレン米財務長官は2日、西側諸国が設定する上限価格で石油を販売することがロシアにとり経済的に有利に働くという認識を示した。さもなければ、ロシアは石油生産の停止を余儀なくされ、生産再開の能力も損なわれると述べた。
イエレン長官はMSNBCとのインタビューで、主要7カ国(G7)の財務相が2日合意したロシア産石油と石油製品の価格に上限を設定する措置について、ウクライナ侵攻を続けるロシアの戦費調達を細らせることができると語った。
米経済情勢については、インフレはなお非常に高い水準にあるとした上で、インフレを低下させるのは米連邦準備理事会(FRB)の責務と述べた。さらに、米経済のソフトランディング(軟着陸)達成は困難ではあるものの、達成する道筋は存在するという認識を示した。
また、朝方発表された米雇用統計について、堅調な雇用情勢が労働市場への復帰を人々に促しているとし、労働参加率はコロナ禍前の水準に向け回復していると指摘した。
8月の雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比31万5000人増加と、市場予想の30万人増を上回る伸びとなった。失業率は3.7%に上昇したものの、労働参加率は62.4%と、7月の62.1%から上昇した。
G7財務相、ロシア産石油価格の上限設定で合意<ロイター日本語版>2022年9月2日11:05 午後
[ベルリン 2日 ロイター] – 主要7カ国(G7)の財務相は2日開催したオンライン会合で、ロシア産石油および石油製品の価格に上限を設定する措置を導入する方針で合意した。原油価格の高騰を回避しつつ、ウクライナ侵攻を続けるロシアの戦費調達を阻む。
しかし、バレル当たりの価格上限については「技術的インプットの範囲に基づき」今後詰めるとし、重要な詳細は盛り込まれていない。
G7財務相は声明で「ロシア産原油および石油製品の海上輸送を可能にするサービスの包括的な禁止を決定し、実施するという共同の政治的意図を確認する」と表明した。
価格上限を超えるロシア産石油や石油製品の海上輸送への保険・金融サービスなどの提供は禁止される。
声明はまた、「欧州連合(EU)の第6次対ロシア制裁に含まれる関連措置のスケジュールに合わせて実施することを目指す」としている。EUは12月からロシア産石油の禁輸を施行する。
米国財務省の高官によると、ロシア産原油については特定のドルの価格上限を設け、石油製品については別の2種類の上限を設ける見通し。価格は必要に応じて見直すという。
議長国ドイツのリントナー財務相は会見で、ロシアの石油価格に上限を設けることで、ロシアの歳入が減少するとともに、インフレが抑制されるとし、「われわれはロシアの収入を制限したい。それと同時にわれわれの経済への打撃を軽減したい」と語った。
さらに、G7は上限設定でコンセンサス形成を目指しており、EUの全加盟国が参加することを望んでいるとした。
イエレン米財務長官も声明で「世界のエネルギー価格に下押し圧力をかける、ウクライナでの残忍な戦争の財源となるプーチン大統領の収入を断つという2つの目標」達成に役立つという認識を示した。
ロシア大統領府のペスコフ報道官はG7の声明を受け、世界の石油市場を不安定化させる措置という見方を示し、上限価格を設定する国国への石油販売を停止すると述べた。
G7の高官は、ロシア産石油価格の上限設定を巡り、他国からも参加に向け「前向きなシグナルを受け取っているが、確固としたコミットメントには至っていない」と述べた。同時に「われわれはロシアや中国などに対する結束のシグナルを送りたかった」と述べた。
ウクライナのゼレンスキー大統領のウステンコ上級経済顧問は、ロシアの収入を減らすためにまさに必要な措置」とし、G7財務相会合での決定を歓迎。価格上限が40━60ドルのレンジになるという見通しを示した。
ゼレンスキー大統領はビデオ演説で、ロシアの天然ガス輸出にも上限を設けるべきと訴えた。
ロシア、価格上限設定する国に石油売却せず=大統領府<ロイター日本語版>2022年9月2日7:56 午後
[モスクワ 2日 ロイター] – ロシア大統領府のペスコフ報道官は2日、ロシア産エネルギーに上限価格を設定する国には石油を売却しないと述べた。
報道官は会見で「上限価格を設定する企業はロシア産石油を受け取ることはできない」とし「そうした企業と非市場的な原理で協力することはない」と述べた。
主要7カ国(G7)の財務相は2日にオンライン会合を開催する。G7関係者によると、ロシア産原油価格に上限を設定する計画を詰め、実施計画を盛り込んだコミュニケを発表する可能性が高い。
欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は2日、ロシア産ガスの購入に上限価格を設定することをEUが検討すべきだと述べた。
ペスコフ報道官はこうした動きについて、代償を払うのは欧州市民だと指摘。
「エネルギー市場は最高潮に達している。特に欧州ではそうだ。反ロシア政策により、欧州は米国産の液化天然ガス(LNG)を高値で、正当化できない金で買っている。米国企業は豊かになり、欧州の納税者は貧しくなる」と述べた。
その上で、ロシア産石油に対する上限価格の設定が経済にどのような影響を及ぼす可能性があるかを調査しているとし「一つ自信をもって言えるのは、そうした措置で石油市場が著しく不安定化するということだ」と述べた。