KADOKAWAの本社ビル=6日午前、東京都千代田区(鴨志田拓海撮影)
KADOKAWAの本社ビル=6日午前、東京都千代田区(鴨志田拓海撮影)

東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、出版大手「KADOKAWA」が大会スポンサーに選定されてから1年半に渡って大会組織委員会元理事の高橋治之(はるゆき)容疑者(78)側に資金を提供していたことが、関係者への取材で分かった。東京地検特捜部は、KADOKAWAが選定以外にも、公式ライセンス商品などに絡んで高橋容疑者らに便宜供与を依頼した可能性もあるとみて捜査している。

高橋容疑者と、高橋容疑者の広告大手「電通」勤務時代の後輩の深見和政容疑者(73)は令和元年7月~3年1月、深見容疑者のコンサルティング会社「コモンズ2」名義の口座に10回に渡り計約7600万円の賄賂をKADOKAWA側に振り込ませたとして、受託収賄容疑で逮捕された。

KADOKAWA側では、贈賄容疑で元専務の芳原世幸(としゆき)容疑者(64)と、同社の五輪関連部署の担当室長だった馬庭(まにわ)教二容疑者(63)が逮捕されている。

関係者によると、高橋容疑者はKADOKAWA幹部と元々面識のあった深見容疑者からKADOKAWAの意向を聞き、スポンサー契約を主導していた電通側に出版分野のスポンサー枠の新設を働きかけるなどしたという。

KADOKAWAは平成31年4月、組織委とスポンサー料が最も安い「オフィシャルサポーター」の「書籍および雑誌の出版サービス」カテゴリーで、組織委とスポンサー契約を締結。その後、公式ライセンス商品として、五輪関連の出版物を令和3年4月から順次販売するなどした。

特捜部は、KADOKAWAが具体的に五輪関連で高橋容疑者側へどのような依頼をしたのかなど、詳しい経緯を調べている。